内容説明
慶長十七年(一六一二)江戸幕府は、大橋宗柱ら八人の碁打ち・将棋指しに、毎年、俸禄を与えることを決めた。その後、大橋家は、幕府に拝領地を下賜され、武士でも庶民でもない「御用達町人」となり、毎年、江戸城内で「御城将棋」を披露した。しかし、大橋家は、家業収入と幕府からの俸禄だけでは生活が成り立たず、拝領地に長屋や店舗を建てて地代家賃の収入を得て生活を維持してきた。こうした史実は、「大橋家文書」が発見されるまでは、全く知ることが出来なかった。本書は、明治まで続く「将棋宗家」十二代のお家存続の努力の歴史を明らかにする。将棋の普及に貢献した一族の歴史は、交際費や付け届けがかさむ借金の歴史でもあった。
目次
序章 将軍家「将棋指南役」・大橋家の歴史(世界に類のない「将棋専業」家の成立;「大橋家文書」に綴られた御城将棋の記録 ほか)
第1章 大橋家の台所事情(拝領地に住んでいなかった大橋宗桂;拝領地の有効活用 ほか)
第2章 大橋家の財務管理人(大橋家・拝領地を管理する「家守」;共存・共生関係にあった大橋家と家守 ほか)
第3章 幕末維新期の大橋家の混迷(将棋家の権威の低下;激動のはじまり ほか)
終章 明治期を生き抜いた将棋宗家(最後の将棋家;将棋宗家・大橋家の歴史を振り返る)
著者等紹介
増川宏一[マスカワコウイチ]
1930年長崎市生まれ。旧制甲南高等学校卒業。その後、世界各地をフィールドワークしながら、将棋史、盤上遊戯史、賭博史の研究を続ける。遊戯史学会会長、将棋博物館顧問。大英博物館リーディングルーム・メンバー、国際チェス史研究グループ会員でもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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