内容説明
歌にご当地ソングがあるように、芝居にだってこ当地ドラマはある。さしずめ「市ケ尾の坂」はその最高傑作。伝説の虹の三兄弟、それに絡む美貌の若妻。エロスとナゾがクロス。ついにはミステリアスな「家族合わせ」の像が浮かび上がる岩松了の代表作。ついに刊行。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あなた
4
岩松の戯曲を読む行為を通して率直に感じずにいられないのは「……」の多用=濫用である。つまり、彼は戦略的に彼らを「つまらせ」、「間」を機能的なドラマとしてたゆまず召喚している。「休息」はドラマだ!が岩松のドラマツルギーでもあるが、それが微分化されゆくとき、ためらい=休符もドラマになる。この劇的な「間」を役者と交渉していくのが演出家岩松の手腕となる2010/08/01
あなた
4
私が学生時代からビデオに撮ってすりきれるぐらいに今でも見続けている芝居が三つある。ひとつがベケットの『ゴドーを待ちながら』。二つ目が倉持裕『ワンマン・ショー』。そして三つ目がこの『市ヶ尾の坂』。岩松もいっていることだけれど、戯曲を読むのと舞台をみるのは決定的に違う。それは根本的に異なる行為であり、決して一致させることができない。戯曲を読んだからといって舞台をみたことにはならないし、舞台をもいたからといって戯曲を読んだことにもならない。つまり、演劇は「演出」という媒介行為があるからだ。(コメに続く2010/07/25
たっつぁん
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このなにか起きそうでなにも起こっていないんだけど水面下で渦巻いている感覚?がすごいなぁと感服でございます。2013/05/06