内容説明
ヴェヌスへ向かうサブヴェネリンの中は異様な熱気に満ちていた。オプテックス・ガラスの窓の向こうに、エア・ドームに包まれた“都”があらわれる。歓喜に沸く乗客たちの喧騒をよそに、漆黒の肌のミュージシャン、ピカロの表情は冴えないものだった。その姿はまるで黒炭でつくられた悩める彫像のようだ。「ピカロ、あなたは海の底で死ぬのよ」黄金の瞳の美しい母、シムーンの言葉が何度も思いだされる。―“都”で18世紀に流行った歌が奏でられるというコンサートの日。しかし音楽の始まりとともに、ヴェヌスは壮絶な惨劇の舞台と化したのだった。血にまみれ倒れ重なる人々。当局からは「CXシステムの故障により生じたアクシデント」との説明がなされたが…。水の都ヴェネチアのパラレルワールド“ヴェヌス”で繰り広げられるタニス・リー傑作ロマンティック・ファンタジー「ヴェヌスの秘録」シリーズ衝撃の終幕。
著者等紹介
リー,タニス[リー,タニス][Lee,Tanith]
1947年イギリス・ロンドンで生まれる。CatfordのPrendergast Grammer Schoolで中等教育を受け、9歳から創作を始める。卒業後は図書館助手や店員、文書整理係、ウェイトレスなどの仕事に就き、25歳の1年間は美術大学で学ぶ。1970年から1971年にかけて子供向けの本を3冊発表。1975年DAW Books USAから『The Birthgrave』を出版して以降、立て続けに26冊を上梓し専業作家となった
柿沼瑛子[カキヌマエイコ]
英米文学翻訳家。早稲田大学第一文学部日本史学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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