内容説明
『崖の上のポニョ』から最後の長編監督作品『風立ちぬ』まで、スタジオジブリ作品と変わりゆく時代、そして自分自身を語った4本のロング・インタビュー。監督としてのスタート地点に立った初演出作品『未来少年コナン』と長編監督デビュー以前のキャリアを語った2本も同時収録した宮崎駿の決定版インタビュー集、第2弾!
目次
初めて人間に憧れる主人公を描く―『CUT』2008年9月号『崖の上のポニョ』インタビュー
もう少年が主人公の映画しか作らない―『CUT』2010年9月号『借りぐらしのアリエッティ』インタビュー
震災、そしてファンタジーの終わり―『CUT』2011年9月号『コクリコ坂から』インタビュー
初めて自らの映画に泣く―『CUT』2013年9月号『風立ちぬ』インタビュー
演出家・宮崎駿の誕生―『未来少年コナン』インタビュー
宮崎駿はいかにしてできあがったのか―長編監督デビュー以前総括インタビュー
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハイランド
60
前作を読んだのはもう15年以上前になろうか。この本には「ポニョ」と「風立ちぬ」の制作時(または制作後)のインタビューと同時に古いインタビューが2つ掲載されている。饒舌に自分の信念を語る語る。考えに考えて作品と向き合う。考えただけでは絶対に彼のような作品は出来っこない。そこに宮崎駿だけの感性が加わって彼のアニメになる。漫画界における手塚治虫級の天才なんだろう。でも「千と千尋」以降は才能も限界かな? ポスト宮崎争いも一巡して、なんとなく候補が絞られてきた感もありますが、つくづく今敏の早世が惜しまれますね。2018/08/22
こうすけ
23
宮崎駿かく語りき。ポニョから風立ちぬまでのインタビュー。前編同様に、インタビュアーの「決めつけ質問」という、斬新な手法が宮崎駿の怒りや熱のこもった言葉をひきだす。少年を主人公にしたファンタジーは悲劇になる、しかし作りたい。若い頃の母親に会ってみたい。など、いま読むと『君たちはどう生きるか』につながる言葉がたくさん残されている。ポニョは映画も最高だけど、インタビューも最高だった。なぜポニョは海水じゃなく、水道水でも生きられるのか。その答えに、この映画やキャラクターの核が隠されている。改めてすごい人だ。2023/08/18
との@恥をかいて気分すっきり。
22
あっという間に読み終わりました。宮崎駿さんの脳内をちょこっと垣間見せていただいて、こんなことを考えていたからこんなシーンになったんだとか分かったり、人や時代の見方に共感したり。あと未来少年コナンとかの裏舞台とかも読めて嬉しかったですね。2014/02/06
ねこさん
18
奥様とハンセン病の写真展に行ってきて、二人で黙って帰ってきたみたいなエピソードがあって、結局それがすごく印象に残っている。羨ましさも含めて。それもあって『もののけ姫』を観直してみたり、「鈴木敏夫とジブリ展」で70年代、80年代の空気を浴びてしまって、それでも生きなきゃいけないんだって簡単に言えない世の中になったなと思うのと同時に、人が生きていくのに今が最悪の時代かっていうとそうでもないんだろうなとも思ったり、思わなかったり。2022/07/30
しゅん
17
宮崎駿の仕事というより、渋谷陽一のインタビュー・編集仕事として面白い。作家が否定するのを更に否定しての連続が漫才になってる。爆笑問題の本と同じノリで宮崎駿がツッコミしててずっと笑いながら読んだ。この雰囲気を作る並の編集者ではないと思う。渋谷が絶対に自分の答えを曲げない、それ故に宮崎の言葉が溢れ出す。あと絵の動きとかにちゃんと触れてて、準備の構えがちゃんとできてるのがわかる。また、巻末収録の『カリオストロの城』までを振り返る80年代初頭のインタビューは、資料としても読み物としても面白い。2023/08/14