体の贈り物

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 13X20cm
  • 商品コード 9784838712908
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

糸車

38
人と人が触れ合えば何らかの感情が生まれる。自宅療養するエイズ患者の生活を手助けする主人公は訓練を受けたプロらしく淡々と仕事をこなしながらも、やがて訪れる別離に徐々に心を痛めつけられているように思える。懸命に生きる彼らを同情で語ってはいけないと理解していても、失われる命と同じ時間を共有していれば心が動かない訳がない。この小説を重たいお話とは言いたくない。淡々と語られている分、読み手が想像し心を動かされる気がする。号泣ではなく、気づけば頬が濡れているような。10年以上前に図書館で読み、再読。また読むと思う。2015/03/14

やまはるか

30
柴田元幸訳 重篤なエイズ患者のホームケア・ワーカーの一人称語り。介護日誌のようなスタイルで複数の患者との関りが「~の贈り物」として11の小編になっている。舞台はアメリカ、病気の特性のように男同士のペア―が何組か登場する。ケアーする相手は全員寝たきりで、確実に死が近づいていることを本人も回りも静に受け止めている。横たわる末期患者にシーツを掛けようとした時「まだ掛けないで、空気がすごく気持ちいい。空気を肌に感じていたいんだ」と言って制する。死に直面した人のそうした一つ一つの声が生き生きと輝いて聞こえる。2023/09/29

たまきら

24
図書館で新たに読む本を物色中に、訳者の名が目に留まって。この人の訳す本は、英語を彷彿させつつも日本語の流れが自然なので好きです。しかもあとがきに「この本はいつにもまして勧めたい本です」とあるじゃないですか。読んで、最後泣きました。エイズ患者(出版された90年代前半、まさに死の病でした)のターミナルケアをしている女性と、その周囲の人のシンプルな短編集が集合したものなんですが、90年代をアメリカで過ごし、友人2人をエイズで亡くしている自分にはかなりこたえました。簡潔で清浄な素晴らしい文章です。秀逸。2016/02/08

ぶんこ

18
途中まで、エイズ患者のお世話をしていると、気づきませんでした。 声高にエイズの事を書くのではなく、淡々と手助けをする様子が書かれていました。 自分の親でも、弱った姿を見るのが辛いので、介護は他人がビジネスライクにやるのが良い、というのが持論でしたが、他人でも、こんなに細やかに気遣ってお世話をするとは、本当に頭が下がります。 この仕事を続けるのは、精神的に相当タフでなくては、おかしくなってしまうでしょう。 こういった内容だと、いつもは辛くて投げ出すのですが、淡々と描かれているので、最後まで読めました。2014/04/06

テツ

17
レベッカブラウンは本当に素晴らしい作家だと思う。日本であまり読まれていないのが残念でならない。肉体と、そしておそらく発病するまでの過程により精神をも蝕んでいく病であるエイズとそれに冒されていく人間。そんなエイズ患者の介護をする人々の物語。人と人が交われば必ず何かしらの感情や想いが生まれるものだけれど、自らの死への秒読み段階である患者と、その介護者との交流で生まれるものは時としてお互いにとって重過ぎるものでもあるんだろう。淡々とした装飾を極力抑えた文章が、そこに必ず訪れる「死」を強く感じさせる。2015/11/16

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