内容説明
著者は、人骨そのものに明瞭な痕跡をとどめる抜歯習俗の分析を進めていくうちに、次第に、縄文・弥生時代の抜歯が奈良時代の戸籍にも匹敵する婚後の居住方式や出自規定を刻みこんだすばらしい資料であるとの確信をいだき、やがて装身具、墓地、集落等の資料も、分析次第では文献記録に代わって親族組織の推定に活用できるとの予想をもつに至った。著者の研究のうち、縄文時代に関する論考をまとめたものが本書である。
目次
1部 抜歯の習俗(世界の抜歯;抜歯の意義)
2部 装身と婚後居住規定(縄文晩期の婚後居住規定;縄文中・後期の婚後居住規定;有鉤短剣と腰飾り;叉状研歯)
3部 埋葬と親族組織(縄文時代の複婚制;伊川津遺跡の埋葬;北海道の竪穴墓地;縄文時代墓制の諸段階)
4部 装身・葬制と社会(縄文時代の装身原理;縄文時代の社会;葬制と親族組織)
著者等紹介
春成秀爾[ハルナリヒデジ]
1942年神戸市生まれ。1966年岡山大学法文学部(日本史専攻)卒業、同年九州大学大学院文学研究科修士課程(考古学専攻)中退。岡山大学法文学部助手・講師、文化庁文化財調査官を経て現在、国立歴史民俗博物館考古研究部教授・総合研究大学院大学(日本歴史専攻)教授。1993年第6回浜田清陵賞受賞
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。