内容説明
映像人類学は―科学というセンサーからは洩れてしまうもの、言語という構造化からは流れ落ちてしまうものの痕跡や気配を、過去の一瞬を凍結し、光を通して現在化する魔術としての映像によって、蘇らせていったのだ。その創造性は、映像が誕生して一世紀半という長い時間の蓄積の果てに新しい輝きを持ち始めている。本書は、そうした光と精神の運動としての豊潤な映像人類学の位相を読み解くためのハンドブックである。
目次
映像の自然
映像人類学―ある時間装置の未来
映像の災厄
討論 映像人類学の可能性
映像的ウォークアバウト―映像人類学ノート
陶酔する映像―マヤ・デーレンの『神聖騎士』を中心に
被写体以前―十九世紀の人類学的写真アルバム
映像人類学 人はじめ
折口信夫のシネマ論的民俗学―『「雪祭り」しなりお』分析
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
1
人類学は、写真や動画といった映像記録と切り離せない学問分野だ。しかし、そこにはメリットや可能性があると同時に、さまざまなデメリット、虚飾、ビジネスといった問題もからんでくる。 本書には、港千尋、今福隆太、宇野邦一、管啓次郎、伊藤俊治、中沢新一、落合一泰、大森康宏が自由に論じた8篇+対談が収められている。 19世紀に撮られた大量の人類学写真を紹介する論考から、実際の撮影法を解説したもの、折口信夫のシナリオの分析など、内容はきわめて多様。感覚的に語っているひとが多いのは、こういったテーマでの傾向なのか。2021/05/08
子音はC 母音はA
1
文化人類学の領域から産まれた此の学問の概要から始まり映像の持つ魔力を各識者たちが語る。ドキュメンタリー映像に興味がある人向けかも。中沢新一(折口信夫のシネマ論的民俗学)の項目が白眉。映像が従来の認識・言語感覚から飛び越える奇跡的瞬間について語っている。2014/07/09
まさゆきー
0
映像が人類の眼差しにいったいどのような影響を与えてきたのか、民族誌映画の意義と欺瞞はどのようなものか。 撮る側と撮られる側の関係にはある種の暴力が必然的に介在してしまう。が、我々の批評的な態度を触発する効果もある2014/05/05
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