出版社内容情報
〈内容目次〉ドラゴシュ公と《儀礼的狩り》 マノーレ親方とアルジェシュ修道院 「シャーマニズム」はルーマニア人の間で行なわれていたか ルーマニアにおけるマンドラゴラス信仰 千里眼の雌子羊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
狩猟採集社会が自由農民階級に残る古代ルーマニア、ダーキアの社会について、前巻は、狼の変身儀礼やザルモクシスの人身供儀がローマの侵入において変容する過程を、時代を下りつつ描いていた。本巻は、今も伝承されるルーマニアの叙事詩「ミオリッツァ」の死生観に古代シャーマニズムの痕跡を見出していく。宇宙の女王との婚姻で自らの死を理解する羊飼いの男は、対立物の一致を表すと同時に、脱魂による垂直軸と水平軸の統合した宇宙観も示す、と著者はいう。著者にとってフォークロアは地域の習俗でなく、全世界に散在する祖型を見出す学である。2021/07/29