内容説明
哲学・科学の根底にある「時間」概念を根底から覆し、フッサールやウィトゲンシュタインも解けなかった「他我」問題を解消、西洋思想の根幹としての「意識」の虚構性を暴くことによって、現代科学の隠れた陥穽を突く。画期的「自我論」への予兆を秘めた大森哲学の新展開。
目次
1 物語りとしての過去
2 殺人の制作―過去制作の一断片
3 「後の祭り」を祈る―過去は物語り
4 時は流れず―時間と運動の無縁
5 他我問題の落着
6 他我問題に訣別
7 主客対置と意識の廃棄
8 「意識」からの解放
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ichiro-k
16
大森荘蔵氏は、クソ真面目にテツガクをしていたという印象。つきなみな表現だが、西洋を中心とした高名な哲学者たちの考察に流されず(迎合せず)、正しいとか間違えているとかの問題ではなく「自身の納得(考え)」を表明。内容よりもその姿勢に人間性を感じ共感。2011/03/31
kenitirokikuti
6
図書館にて。本書に進んだのは、古田博司氏の『ヨーロッパ思想を読み解く―何が近代科学を生んだか 』からである▲〈想起とは命題的であって知覚的ではない〉し、〈過去の知覚経験の再現または再生〉ではない。記憶の中に過去の知覚経験は保持されていない。しかし、「知覚未練」というべきものがあり、現在形の知覚風景をもって過去命題の意味充実(フッサール)をしようとする傾向がある。〈映画と違って一切の知覚経験を欠いた純粋な命題集合である小説や物語りこそ、過去の類比としてはこの上ないものである〉。2020/11/09
まれむりん
4
見事な言語ゲーム実践。ウィトゲンシュタイン流治療的分析のごとく、意識や時間といった概念を一種の哲学的病として蹴散らす様は、本当にスリリング。真面目な議論の要所要所でフッサールや西田をおちょくる姿に何度か爆笑。2010/01/31
rubix56
2
さわりだけ2014/12/19
ソクラテスくん
2
何度か読み返すと思う。。。でも、今のところ、現在その時に在るものっていうのを出来るだけ正確に見極めなくちゃいけないと思った2011/07/24