内容説明
アナーキストにして語学の天才、すべてを独学で学んだ誇り高き人生。画家水島爾保布の長男に生まれ、父の友人武林無想庵、辻潤、長谷川如是閑等の影響をうけ、ニヒリズム、アナーキズムに共感、一切の束縛を嫌い、府立五中も中退、独学で諸外国語、文芸を学び、SFの波到るや、その先駆者となった、明治生まれの骨っぽい人生を精密に描ききる。
目次
韜晦して現さず―四十年の空白を経て
処女作・桜田門―「文芸日本」に作品発表
「文芸日本」から探偵小説、科学小説へ―同人たちの作品評
父・水島爾保布の周辺―無想庵、潤、春夫等文人が集まる
根岸小学校の頃―父、爾保布と如是閑の交流
心情的アナーキスト―言語学を学ぶため上智大学へ
ヨーロッパへ密航―言語学を目指し冒険旅行
泉鏡花に心酔―作品にも生活にも強い影響
戦争下の「高等遊民」―武林イヴォンヌをめぐって
米軍通訳、そして結婚―疎開先の戦後生活
おめがクラブの発足まで―探偵作家との交流の中で
『セキストラ』と『完全な侵略』―「宇宙塵」と「科学小説」の発刊
「宇宙塵」の例会―SF草創期の群像との交流
寡作、孤高の作家―SF初期の苦難を越えて
終生の伴侶―長い独居生活の影で
幻の共和国に向かって―『光の塔』と『我が月は緑』の世界
著者等紹介
峯島正行[ミネシママサユキ]
1925年横浜に生まれる。1950年早大文学部社会学専攻卒、実業之日本社に入社。59年週刊漫画サンデー創刊、編集長。72年週刊小説創刊、編集長。80年有楽出版社創業、2001年顧問に退く。92年「ナンセンスに賭ける」(青蛙房)にて大衆文学研究賞を受賞。93年同書にて日本漫画家協会特別賞受賞
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