男であることの困難―恋愛・日本・ジェンダー

男であることの困難―恋愛・日本・ジェンダー

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  • サイズ B6判/ページ数 289p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784788506220
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1090

出版社内容情報

 自立」した女性が増えて「男であること」が難しい時代,ますます増える結婚できない男性。フェミニズムの視界に「もてない男」の居場所はあるか?漱石が予見した近代における男の運命を確認しつつ日本恋愛文化論にいたる,ホロ苦い文学再読の旅。

 誰だったか、川端康成の『女であること』という作品を引き合いに出して、「おとこであること」は小説の題にはなり得ない、と論じていたのを覚えている。女であることを、夢見る~とかいう、よく意味の分からない歌謡曲もあった。バルザックは、「三十にならなければ女は分からない」と言った。オルテガは男が本当に女に興味が持てるのは三十歳から四十五歳のあいだだと言った。ミシュレは『女』とか『愛』とかいう本を書いた。『女がわからない』とか『おんな学事始』とか、『女は世界を救えるか』とかいう本が出ている。『女性の歴史』などというのも、本朝にあっては高群逸枝、海外にあってはジョルジュ・デュビーによって書かれている。売れる本の条件は、書き手が女で、出てくるのが女で、読み手が女であること、などとも言われている。なんでそんなに『女』なんだ。(本文より)

書 評
 「法学セミナー」98.4月号
 朝日新聞 98.1.8 特集「ダメな男で何が悪い~」
 「図書新聞」98.1.17 金井景子氏評
 ・「30代男の本音が随所に」(河北新聞 97.12.21 同記事、高知新聞、四国新聞)
 東京新聞 夕刊 97.12.4 特集「自著を語る」小谷野敦氏
 朝日新聞 97.11.20 「お薦めの3点」斉藤美奈子氏
 「IZUMI」98.9月  上田哲二氏評
 「週刊文春」99.5.13「『もてない男』(ちくま新書)大モテの秘密」

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 【関連書籍】
 『 フランスから見る日本ジェンダー史 』 棚沢直子、中嶋公子編 (定価3675円 2007.5月)
 『 迷走フェミニズム 』 E・バダンテール著 (定価1995円 2006)
 『 帝国と暗殺 』 内藤千珠子著 (定価3990円 2005)

内容説明

フェミニズムや男性学が無視する独身男性、あるいは「もてない男」の立場から漱石、谷崎潤一郎、志賀直哉、シェークスピアなどを論じて日本恋愛文化論にいたる。

目次

第1部 日本近代文学のなかの男と女(夏目漱石におけるファミリー・ロマンス;「女性の遊戯」とその消滅―夏目漱石『行人』をめぐって;姦通幻想のなかの男―『オセロウ』と『行人』;志賀直哉におけるファミリー・ロマンス)
第2部 恋愛と「日本文化論」(日本恋愛文化論の陥穽;情熱恋愛における「他者」;お見合いする女の美しさ―『細雪』をめぐる断想)
第3部 日本人であること、男であること(外国で日本文学を勉強するということ―私の留学体験記;私的フェミニズム論―私はフェミニストになったのか、ならなかったのか;男であることの困難)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nbhd

15
97年、男性学「モテない男」分野の黎明期の本。フェミニズム批判の論考を読む。上野千鶴子憎しがモーレツで、内容が散らかっているけど、悩ましい論点が様々ある。まとめ→①社会は「男らしくあれ」と振りかざすし、恋愛対象の女性は私を翻弄するし「男はつらくて、女はずるい」問題。②「きれいでもなく、才能もない女性」のフェミニズムってどうなっているんだ問題。③モテない男は「モテ男」の上位に立つために“フェミニスト”(女性に理解がある男)になるが、結局モテるのは「モテ男」だし、女性は「モテ男」が好きだよね問題。悩ましいね。2021/02/21

kenitirokikuti

8
図書館にて。小谷野氏はもっと出世したかったという欲を隠さないタイプだ。私は年齢的に氏よりひと回り下だし、学歴や職歴では二回り三回り下である。私は90〜00年代筑波の門前にいた乞食坊主なのだが、小谷野氏の書くものから覗く80〜90年代駒場の様には既視感を覚えるのだった。本書は97年刊行で「つくる会」への言及はなかったと思うが、芳賀徹は初期の理事についている。当時のトピックでは慰安婦が大きな論点になったが、近世から昭和の文学では飲む打つ買うの「買う」の評価が素直でなくなるという動きは改めて見えた。頭重になる2022/11/29

更紗姫

7
明治知識人の間に、「恋愛」に対する憧憬と「お見合い結婚」を一段低く見る風潮があったというのは面白い情報。以前から『こゝろ』の「先生」が何をいじいじ煩悶しているのか不思議だったが、その価値基準で整理するとスッキリ見えてくる。ああ、だからお嬢さんの気持ちを<K-恋愛-純粋><「先生」-結婚-打算>と一方的に決めつけて、独りで落ち込んでるわけね。見方を変えれば、実生活に対する「割り切り」と相応の「覚悟」をもって自分を選んでくれたと胸を張る事も出来たのに。漱石先生も著者も、自縄自縛、男って大変。2015/06/21

まるこ

5
とにかく、小谷野さんの辛口な意見がすごい。特に、最後の自身のフェミニズム批判は上野千鶴子に恨みがあるかのようでした。[実際にあるのかも]もてない男が蔑視されているっているのは共感できます。でも.もてない女もな気が…私自身はどちらかというと上野さん側だけれど、読んでいてつまらなくは無かった一冊でした。特に、夏目漱石や志賀直哉、近代や、柄谷批判、長谷川三千子の細雪論批判についての記述はもっと私に知識があればすんなり読めたのかなぁ。でも、女の技巧と遊戯の違いには納得。男の技巧な無いのかともちょっと思います。2013/11/26

もりえ

4
タイトルに惹かれて図書館で借りましたが、前半は、私には難解すぎて、途中で読めなくなりました。私的フェミニズム論は読めましたが、最後には上野さんへの恨みつらみで興奮されている感じで、なんだかな。「もてない男」とよく自分でいう人達がいますが、それって「女に」もてないってことをいっているの?「女に」もてたいの?なんのために??「女にもてないこと」がなぜ自分をこんなに苦しめるのか、を、冷静に、客観的に考えたほうがいいとおもうんだけど。女なんかにもてなくてもいいじゃん、と、女の私は思うんだけど。2014/05/26

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