出版社内容情報
近代国家日本のイデオロギーと伝統的な民俗的祝祭・儀礼が接合された近代の祭りとしての側面をもつ運動会。近代社会システム構築の礎とされたその歴史を検証し、日本人の集合的無意識が顕現する場としての運動会を多角的に考察する。
第1章 ネーションの儀礼としての運動会 吉見俊哉
1 「お花見」と「演習」
2 国民の身体を調教する
3 競争する個人、同調する集団
4 祭礼・見世物化する運動会
5 結びにかえて
第2章 福沢諭吉の運動会――近代スポーツと日本人の身体観考 白幡洋三郎
1 「先ず獣身を成して後に人心を養へ」――福沢諭吉の心身論
2 「少年の健康屠殺場」東京帝国大学
3 「運動摂生」から「摂生」へ――福沢諭吉の身体摂生法
4 スポーツか身体運動か――福沢諭吉のスポーツ観
5 楽しみと運動との共存――運動会と遠足
第3章 わが国の運動会の歴史 平田宗史
1 わが国最初の運動会
2 明治期の運動会
3 大正期の運動会
4 昭和前期の運動会
第4章 明治政府の運動会政策――奨励と抑圧の二面性 木村吉次
1 競闘遊戯会の系譜
2 体操演習会の系譜
3 運動会の奨励
4 運動会の抑圧
5 結び
第5章 近代の天皇制と明治神宮競技大会 入江克己
1 国民体育大会の創設と象徴天皇制
2 絶対天皇制と神宮大会の創始
3 大衆ス
内容説明
運動会は、世界に類を見ない日本独特のイベントである。そこでは、明治国家のテクノクラートたちが近代国家の重要なイデオロギー装置である学校に装填しようとしていた、身体をめぐる戦略がもっとも集約的に発動された。また同時に、民衆の集合的な日常的感覚のなかに深く根を下ろしてきた祭りと固く接合されることによって、近代日本の二重性を端的に象徴する場ともなった。だが、明治の運動会は、最初から国家が明確なかたちを提示し、それにしたがって形成されたものではない。兵式体操を重視する国家の教育政策と、明治時代以前から受け継がれてきた伝統的な遊戯が複雑に混交され、曖昧なかたちのまま全国に普及していったのである。人々が民俗的記憶として培ってきた祭りを取り込みながら、近代的な社会システム構築の礎とされたその歴史を検証し、日本人の集団的無意識が顕現する場としての運動会を多角的に考察する。
目次
第1章 ネーションの儀礼としての運動会
第2章 福沢諭吉の運動会―近代スポーツと日本人の身体観考
第3章 わが国の運動会の歴史
第4章 明治政府の運動会政策―奨励と抑圧の二面性
第5章 近代の天皇制と明治神宮競技大会
第6章 幼稚園に「運動会」はいらない
感想・レビュー
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Toska
ああああ
たろーたん
tkm66
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