内容説明
蛮勇をふるわず、部下列機の安全をはかりつつ、いかにして最大の戦果を挙げ得るか―燃える心を内に秘めて苛酷非情の大空の激闘に若き命を賭けたサムライパイロットのヒューマンドキュメント。日華事変から太平洋戦争まで、名機零戦とともに戦い抜いた自らの半生と大空に散った幾多の青春群像を悼む空戦記録。
目次
第1章 大空にはばたかん
第2章 かぎりなき挑戦
第3章 大空を駆ける日
第4章 三たび戦場へ
第5章 飛行実験部の日々
第6章 零戦とともに生きて
第7章 雲流るる果てに
第8章 わが青春に悔いなし
第9章 大空の体験から
著者等紹介
小福田晧文[コフクダテルフミ]
明治42年、岡山県に生まれる。昭和6年、海軍兵学校卒業(59期)。爾後、戦闘機パイロットとして勤務=「大村」「大湊」「大分」「横須賀」等の各航空隊勤務(隊付、教官等)。空母「加賀」「龍驤」等に乗り組み。中支戦線(第12航空隊)、南支戦線(第14航空隊)、ソロモン方面戦線(第204航空隊)に参加。戦闘機テストパイロット(横須賀)として約5年勤務。終戦時、海軍中佐。第16飛行教育団、第1航空団各司令。航空自衛隊人事教育部長。飛行教育集団司令官、中部航空方面隊司令官。日本無線(株)取締役営業部長、ペルテック(株)取締役工場長を歴任。平成7年2月、歿
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感想・レビュー
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スー
23
60前に読んだ本にたびたび登場していた小福田さんの自伝書です。兵学校から憧れのパイロットになり支那事変で実戦を経験してその後はラバウルで激戦を体験して教官とテストパイロットしていて体験談は前線基地での日々やエンジントラブルによる不時着・戦友の死などとても豊富でした。零戦は技量と経験の有るパイロットが居て始めて実力を発揮できる機体で未熟者には厳しい機体だったは納得でした。日本の間違いは物資と技術の無さを命を軽視し精神力で補おうとした事ですね。2020/05/04
飯田健雄
6
映画、『零戦燃ゆ』のモデルともなった小福田晧文氏の回顧録。244ページと372~373ページが印象に残っている。前者は、木更津基地からラバウル基地についた当日に、攻撃命令を受け、部下の疲労困憊を慮って、毅然と意見具申したこと。後者は、あの零戦を燃やす有名なシーン(このシーンに流れる歌、石原裕次郎の『黎明』という歌がよかった、泣けました、涙ボロボロでした、、)である。やはり、海軍兵学校出のエリートからか、下士官エースとしての、坂井三郎氏の著作とは、好対照をなす。部下思いの隊長さん(分隊長)でした。2015/05/31
連雀
4
海軍航空隊の本を読むと必ず出てくる小福田少佐の自伝です。やっぱり兵学校を出てから搭乗員になっただけあって、文章がインテリですね。予科練上がりの岩本徹三や坂井三郎の本とはまったく雰囲気が違います。特徴的なのは自分の成功談よりも失敗談が多いこと。そして、自分よりも部下や同僚の話が多いことです。さらには戦争と言う極限状況を知っているものならではの航空業界全体の未来に思いを馳せている部分とか、戦記とは思えないくらい。実に面白かったです。2014/02/14
Ayano
2
リポートというよりも、事実描写と著者の想い等がかなり入っている1冊。 戦時中の心境として仕方ないのかもしれないけれど、戦争を体験していない世代からすると、飛行機が墜落していく様子や人が亡くなる様子が淡々と書かれていることにちょっと抵抗があったかな。 戦闘場所についても東南アジアの地理的なことが全くわかっていない状況で読むとちょっとわかりにくいかもしれない。2012/05/28