出版社内容情報
江戸周辺の御鷹場は規制だらけの鳥獣保護区。村ではイナゴを上納したり、案山子設置の嘆願をしたり。古文書で読む「第一話 江戸西郊御鷹場事情」。
収録史料、新宿・中野、多摩地域の古文書、嘉永3年「縄張案山子御免願」、享保4年「いなご虫上納割当に付廻状」、安政4年「尾州藩御鷹場御法度証文」ほか9点。
参考図版『絵本鷹かゞみ』(春・夏・秋・冬の鷹狩、鷹の雛をとる、鷹の訓練)/中野に巨大犬小屋出現。綱吉の出した生類憐みの令で江戸の町は大混乱。「天下の悪法」の実態は?法令集と古文書で読む「第二話 生類憐みの令と中野犬小屋」。
収録史料、『撰要永久録』『憲教類典』ほか、中野・世田谷等の諸家文書22点。
参考図版『元禄十年中野御囲(犬小屋)絵図』『宝永2年江戸大絵図』『犬駕籠』
第一話 江戸西郊御鷹場事情:1鷹場内の規制(カカシも許可制、相撲興業で詫び入れ、商売は鑑札を持って)、2鷹場村々の負担(御鷹にいなごの上納、度重なる上納は御勘弁)、3鷹場の支配とその周辺(鷹場支配の基本、鷹場内での誤射事件、利権をめぐって、鷹場役人の腐敗、鷹場廃止)/第二話 生類憐みの令と中野犬小屋:1生類憐みの令下る(将軍お成りでも犬猫は自由、拵え馬の禁、車で犬ひくべからず、牛馬犬猫の戸籍、生類憐みの令の趣旨、捨馬の禁、犬の喧嘩には水かけよ)、2生類憐みの令の波紋(犬を傷つけて追放、庶民のうさばらし、矢ガモ騒動、犬移しの見物)、3犬小屋の建設と運営(元鷹匠が犬小屋支配、中野犬小屋の修復、犬の出生届、犬上げ金の値下げ、御犬の育て方、御犬小屋の心得、御犬の養育費)、4生類憐みの令の終り(綱吉臨終と令の廃止、御犬養育金の返済)。
内容説明
本書はまず、江戸の周辺にあった将軍家と御三家の御鷹場をとりあげます。御鷹場は規制だらけのいわば鳥獣保護区であり、鷹場の村々では、鷹のためにイナゴを上納したり、カカシを立てるのにいちいち嘆願書を出したりと、たいへんな負担と規制を強いられました。享保~慶応年間(1716~1867)の、新宿区から国分寺市にかけての地域の各家の文書から読んでいきます。次に、五代将軍綱吉の出した生類憐みの令をとりあげます。「天下の悪法」によって、江戸の町は大混乱となりました。生類憐みの令の実態はいかなるものだったのか、貞享・元禄・宝永年間(1684~1710)の文書や法令書・判例集から読んでいきます。
目次
第1話 江戸西郊御鷹場事情(鷹場内の規制;鷹場村々の負担;鷹場の支配とその周辺)
第2話 生類憐みの令と中野犬小屋(生類憐みの令下る;生類憐みの令の波紋;犬小屋の建設と運営;生類憐みの令の終り)