出版社内容情報
国民文化の均質化と国民文化相互間の差異意識の先鋭化が同時に働く現代文化の様相は19世紀末から今世紀初頭にかけての時期にすでに胚胎していた。文明の国際秩序と国民文化の関係をラディカルに問い返す,国際共同研究の成果。
内容説明
19世紀末から今世紀初頭にかけて、西欧中心に「文明の国際秩序」が成立し、日本は日清・日露の二つの戦争を経て帝国主義列強の一員となった。本書は、軍隊、教育などの国家装置が再編・強化され国民統合が一定段階に到達したこの時期に焦点をあて、国際秩序と国民文化の関係をあらためて問い直す。
目次
帝国の形成と国民化
西園寺公望と「国民国家」の形成―皇室をめぐって
世紀転換期の「国語」の位相―教化と文化の交差する場
一国思想史学の成立―帝国日本の形成と日本思想史の「発見」
日本史の誕生―『大日本編年史』の編纂について
桜とナショナリズム―日清戦争以後のソメイヨシノの植樹
京都滑稽家列伝
雑誌『太陽』の「十九世紀」特集号に見る世紀転換の意識
ラフカディオ・ハーンの世紀末―黄禍論を越えて
ツーリズムと国民国家―書記される〈西欧近代〉〔ほか〕