出版社内容情報
近代民主主義の対極にある専制主義。現代になおその影をおとしている中国古代国家の最高意志決定システム――皇帝個人の決裁による権力発動の政治構造を,臣下の「会議」の実体を解明することから明らかにしようとする,注目の意欲作。
第1章 朝政の構造―中国古代国家の会議と朝政
第1節 朝議の構造
第2節 朝政の構造
第2章 元会の構造―中国古代国家の儀礼的秩序
第1節 元会儀礼の形成―第1期・両漢期
第2節 元会儀礼の成立―第2期・西晋
六朝末
第3節 元会儀礼の展開―第3期・隋唐期
第3章 帝国の構造―元会儀礼と帝国的秩序
第1節 元会儀礼の帝国的秩序
第2節 『禹貢』の帝国的秩序
第3節 唐王朝の帝国的秩序
内容説明
「アジア的専制」の根源に肉迫。近代民主主義の対極に位置する専制政治…その‘最高意思決定システム’は今日になお濃い影をおとしている。皇帝個人の決裁による権力発動の政治構造の成立と根拠を探る。‘リヴァイアサン目・皇帝専制科の獣’を腑分けした注目の意欲作。
目次
第1章 朝政の構造―中国古代国家の会議と朝政(朝議の構造;朝政の構造)
第2章 元会の構造―中国古代国家の儀礼的秩序(元会儀礼の形成―第一期・両漢期;元会儀礼の成立―第二期・西晋~六朝末;元会儀礼の展開―第三期・隋唐期)
第3章 帝国の構造―元会儀礼と帝国的秩序(元会儀礼の帝国的秩序;『禹貢』の帝国的秩序;唐王朝の帝国的秩序)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
飛燕
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朝議などの朝政、元会儀礼の詳細な分析を行うことで、皇帝権力と帝国の性格を把握しようと試みる。特に元会儀礼における貢献に着目。貢献物は中央に礼物として貢納され、更に中央が蓄積・加工したそれらを再分配することで初めて意味を有する。そしてかかる互酬性を通じて、皇帝と地方・夷狄との従属関係が確認・更新され、同時に帝国の全体的秩序が維持される。その秩序とは帝国内における自己生産―自己消費の再生産構造(「帝国オイコス」)である、とする。難解な箇所も多いが、朝議や元会儀礼に分析は非常に参考になる
Oltmk
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漢代から隋唐期までの中国王朝における会議はどのように扱われ政策を決定したのか、儀礼的秩序や元会儀礼における帝国的秩序などを研究している書籍。他の人が指摘しているようにこの書籍には難解な所が多く、また研究している題材が一種マニアックとも言えるため中国王朝における祭祀儀礼などに興味を持つ人間ではないと厳しいのではないかと思う。ただ、この本でしかあまり取り扱わない題材とも言えるため第一章の朝会の構造は中国王朝においてどのように政策が決定されたかを知るためには重要だと考える。2018/08/27
ファルコ
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いわずとしれた渡辺信一郎氏の著書。とくに専制国家の政策決定がさまざまな会議をへて決められていたことを明らかにした点は面白い。ただし永田英正氏の集議論文との相異点がいまいちはっきりしない。2018/05/31