出版社内容情報
『イデーンⅠ』―正確に言えば、『純粋現象学と現象学的哲学のための諸構想(イデーン)』第1巻「純粋現象学への全般的序論」―は、1913年、フッサール54歳の折り、自らが公刊した極めて重要な主著である。
『論理学研究』公刊後、現象学的還元の着想を得て確立。
本書の前半部分では、本質直観と形相的還元、現象学的還元を扱う。
イデーン――純粋現象学と現象学的哲学のための諸構想 全3巻(5冊)
第1巻 純粋現象学への全般的序論(二分冊)
第2巻 構成についての現象学的諸研究(二分冊)
第3巻 (一冊)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coaf
8
シュッツの拠って立つ基盤に当たっておこうということで読んでみた。斜め読み、飛ばし読み。哲学から離れてきた今となっては本書を興味深く読むことはできなかった。哲学が好きだった時に読んでも興味深く読むことはできなかっただろうが。研究者や研究者を志す学生はこれを丹念に読み込むのだろう。哲学は執念とは誰が言ったか。僕は学問をしても幸せにはなれない人間だということが分かってきた。学問とは別の所で生きよう。哲学者の頭の中はどうなっているのだろう。本書のレビューではなくなってしまった。2013/11/02
む け
4
第一章が一番読むのに苦労した。存在論的一般成立範疇とか・・・。フッサールは結構カントから影響を受けていると思うんだけど、その超越的現象学をここまで一冊で表現できているのはすごいと思う。もの自体は存在しているが、それを認識するということはあくまで一面的なものでそこに超越がある。しかしその観取した物自体に本質が含まれているということ。そしてそこには認識する前提としての純粋意識が存在していること。本質に関わる学問として重要だと思うが、これを具体的にどう用いるかがよくわからない。ほかの著作も読むしかないのか。2013/01/17
ぽんぽん
2
訳注が素晴らしいです。大いに助けられた。自力で整理するには時間がかかりすぎるので。2019/02/08
井蛙
2
<学>の基礎を模索するフッサールは我々の自然的態度を一枚ずつ剥がしてゆく。そこでは日常的な世界定立だけでなく精神科学、果ては幾何学のような形相的学までもが括弧に入れられる。こうした還元の残余として現れるのが超越的なものを一切含まない純粋自我としての意識のフィールドである。フッサールは彼の哲学をそこからどのように立ち上げるのだろうか。2017/08/26
roughfractus02
2
著者は第1巻(1-1,1-2)を概要として提示し、「諸構想」の地図を読者に手渡すかのようだ。世界と見まがう綿密に描かれたこの地図は、例えばデカルトのコギトから「自然的態度」をエポケー(括弧入れ)する時、コギトは実体概念ではなく関数概念として立ち現われる、という前提で読まれうる地図となる。何があるかでなくどう関わるか、という「確信成立の条件」が見えたら、現象学的還元にかけ、外の実在を要しない内在的確信としての超越論的主観性へ向かう。そして、この地図から顔を上げた時、読者の眼には剥き出しの事象が見えている。2017/02/09