内容説明
科学と民主主義による輝かしい未来はどこへ行ったのか?おもちゃ、メカ、マンガ…1950~70年代に巷にあふれたモノたちは、銀色に輝く未来の理想郷を夢見ていた。科学万能主義の衰退とともに消え去ったその幻影を「失われた未来」をキーワードに追体験し、あり得た未来と現実のギャップを語る、俊英の文明論的エッセイ集。
目次
ムーンライナー―懐かしい夢の世界が戻ってきた
ドリームカー―理想追い求める情熱はどこに
万国博覧会―科学と民主主義による楽園への信仰
知能ロボット―よみがえる鉄腕アトムの夢
科学の楽園―輝かしい理想は大衆娯楽で復活する
モノレール―「空飛ぶ列車」のイメージが消えた
人類滅亡―終末すら約束されていない時代に
子守ロボット―アシモフの予測が現実になる
SFプラモ―果てしない冒険へのあこがれ
ユニスフィア―「来るべき世界統一」の夢は現代遺跡となった〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
\サッカリ~ン/
1
ドラえもんやアトムで描かれた『21世紀』像からすれば、素晴らしい速度のネットでいじめサイトが作られたり夢の原発で事後処理で悩んでいる今の姿は、「こんなはずでは」になろうて。ただ、じゃあそういった未来像が100年後に実現しているかと問われてしまえば、あれらアニメに登場する町並みの東京になってるとはなかなか想像できない。そうなると、かつてアニメやマンガで見た『車が空を飛びエメラルド色の摩天楼が続く未来都市』という姿は、やはり失われてしまったんだろうなぁ……2014/11/23
decuno
1
今更読む本でもないかもしれないが、かつてあった希望あふれる未来像を紹介してる本。 あれから全く新しい未来像ができないこと見るとポストアポカリプス一直線なのかねこれ2014/11/23
pochi
0
2000年 12月9日
瞬
0
平成生まれの自分としては「過去の」失われた未来を感じさせる。なによりも自分たちは未来そのものを失っているのではないかという気がしてきた。この本で描かれたような(失われた未来の)「未来」とは希望のことだった。いまの私たちが語る「未来」とは一体なにを指すのだろう。それとは関係ないが、まさか岡田さんも10年ちょっとでテレビがオワコンと言われるようになるなんて思いもしなかっただろうな2012/06/02
稲
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文化について考えるとき、その時代の庶民感覚と言うものが大変重要になってくるが、単なる事実と異なり、感覚まではなかなか記録に残らない。その点で、本書は玩具等を通じて過去における未来観を語っており、大変有意義と言える。2020/08/31