出版社内容情報
三世紀末から五世紀半ばにかけて、中国北部では匈奴を始めとする諸民族が移動・定住し、彼らによって建てられた政権が並立する「五胡十六国時代」と呼ばれる大分裂時代を迎えた。従来、この時期は暗黒時代と考えられがちであった。しかし、ほぼ同時期に起こった西方における民族大移動によってヨーロッパ世界の原型が形作られたように、後の隋唐帝国の制度や文化、東アジア世界の国際関係などは、五胡十六国時代の諸政権にその淵源を求めることができるのである。本書は、諸政権の興亡を詳述する傍ら、新たな中国建設への胎動の時代という観点からこの時代に光を当て、中国社会が多くの民族の活動・融合の上に形成されてきたことを明らかにする。
内容説明
華北に侵入、定住し、自立政権を建てた周辺諸民族が割拠する3世紀末~5世紀中葉の中国。漢族と諸民族が葛藤・融合する激動の時代を描く。
目次
序章 民族の時代
第1章 後漢~西晋時代の少数民族
第2章 「五胡」とは何か、「十六国」とは何か
第3章 「十六国」の興亡
第4章 「十六国」の国際関係と仏教と国家意識
第5章 移動と融合
終章 南北朝から隋唐帝国へ
著者等紹介
三崎良章[ミサキヨシアキ]
1954年埼玉県深谷市生まれ。1977年早稲田大学第一文学部東洋史学専攻卒業。1983年早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。東アジア史専攻。現在、早稲田大学本庄高等学院教諭。マールブルク大学客員研究員、早稲田大学、群馬大学、群馬県立女子大学講師等歴任
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感想・レビュー
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かみかみ
3
劉淵の漢(前趙)から拓跋珪の北魏に至るまで、五胡(匈奴、羯、鮮卑、氐、羌)と称される少数民族が中国で王朝の興亡を繰り返した"五胡十六国時代"の概説書。 一般向けの内容になっているので、五胡十六国時代の入門書として最適な内容となっている。特に五胡の移動を、ローマ帝国におけるゲルマン民族大移動と同列に位置付けている点は、一般向けの本としては画期的だと思った。2014/08/25
ソルト佐藤
1
五胡十六国の各諸国の興亡の部分が面白い。でも、ちょっとそれぞれの国に関しても短いかも・・・。石勒とかはもっと描いて欲しかった。五胡だけではなく、朝鮮や倭国、西域も含めて、中国のまわりの民族が活発になってきた時代であり、その頂点が唐だったのかもしれない。2010/02/22
アレ
0
もうちょっとふりがな振ってほしかった2013/09/09
sfこと古谷俊一
0
(強制)移住の多さが目につきます。普通系図というとずるずると長いものですが、これだと横に広いあたり、すげえ違和感。各国の興亡の経緯は良く整理されてますが、地図を用いて解説してくれればよかったな。2010/07/28