出版社内容情報
「いま」を考えるための歴史へのアプローチ! 歴史探偵への目覚め、天皇退位問題の背景、アメリカの現在と過去・・・未来へ向けた歴史の学び方を語り尽くす。
内容説明
天皇はなぜ退位を望んだのか。戦前の昭和史と現代、何が似ているのか。「いま」を考えるために歴史へアプローチし、歴史を知ることの面白さと大切さを学ぼう。
目次
はじめに 歴史にまつわる不思議
第1話 天皇退位問題について
第2話 大好きな歴史上の人物
第3話 歴史探偵を名乗るまで
第4話 日露戦争と夏目漱石
第5話 「歴史はくり返す」
おわりに 「歴史に学ぶ」ということ
著者等紹介
半藤一利[ハンドウカズトシ]
1930年生まれ。作家。東京大学文学部卒業後、文藝春秋入社。「文藝春秋」「週刊文春」の編集長を経て専務取締役。同社を退社後、昭和史を中心とした歴史関係、夏目漱石関連の著書を多数出版。主な著書に『昭和史』(平凡社、毎日出版文化賞特別賞受賞)、『漱石先生ぞな、もし』(文藝春秋、新田次郎文学賞受賞)、『ノモンハンの夏』(文藝春秋、山本七平賞受賞)等がある。2015年、菊池寛賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
87
「日本のいちばん長い日」の内容とかぶさる箇所は、鈴木貫太郎を中心としての視点から読ませてくれる。また刊行後のエピソードも興味深い。一度本を出せば、それで終わりなのではないこと。原稿をもらいに行った坂口安吾が、歴史への目を開かせてくれたところは、非常にわくわくさせられる。東京大空襲の体験が半藤さんの歴史観に与えている影響はすごく大きいだろう。過去は今の時代になっていくために犠牲を払ったようにも思える。それは今も同様に継続中とみるべきだろう。決して悲惨の繰り返しがあってはならないし、させない努力が必要と実感。2021/08/12
future4227
59
昨年1月にご他界された筆者が半生を振り返りながら、近代史における自身の歴史観を綴る本。長岡中出身ということもあり反薩長的歴史観が強いが新鮮でもある。伊藤博文や山県有朋なんかもバッサリこき下ろし。40年ごとに歴史の大転換が起こるという彼独自の40年史観によると、日本が没落するのは2032年という大予言。また、半藤さんの人脈もすごい。大学生にして高見順と知り合い、行きつけの店では永井荷風の隣で酒を飲み、坂口安吾の自宅に1週間泊まり込んで語り合う。おまけに奥さんは夏目漱石の孫。類は友を呼ぶとはこのことだ。2022/01/26
キムチ27
51
漱石研究家として名高い筆者。その成り行きも自嘲的に述べられている。90歳を前にした、いわば客観的な歴史探求者と言ってもいい筆者が半ば揶揄的、歎き節な面も見せつつ語る。今、ともすると声高にも言われる自虐史観。わたしは確固といろん述べるほど論を抱けていないが、真実が見えるのは更に時間がいるのでは?しかし、昭和初期の神秘的皇国論には頷く。2017/09/25
壱萬弐仟縁
46
「これからは二度と〝絶対〟という言葉はつかわない」と心に決めました。歴史と正面から向き合うことになる、これがわたくしにとっての原点だ(45頁)。この指摘をアベの口から出るのだろうか? いや、出やしない。阿川弘之さんの小説『山本五十六』を唯一認めたのは大宅壮一と小泉信三だけではなかった(131頁)。幕臣の勝海舟、大久保一翁、福井藩の横井小楠らは、激変する国際情勢をしっかり視野に入れて、新しい国のかたちはどうあるべきかを考えていた(140頁)。2017/12/06
ちさと
39
ちょっと前に「太平洋戦争はなぜ起こったのか」などなど、秋篠宮悠仁親王殿下の歴史の家庭教師をされた半藤さん。今回もたくさんの驚くような推理あり、小ネタありで、楽しく読ませて頂きました。目玉は半藤さんの戦争体験と大好きな歴史上の人物。これまでもいくつかの著書で語ってらっしゃいましたが、更に詳しく書かれていてとても興味深い内容になっています。楽しく歴史を学び、その歴史を通して現在やこれからのあり方を見通す。今年89歳。まだまだ色んな話を聞かせて欲しいです。2019/06/29