内容説明
その名前をいまも〈ウォーレス線〉に残す19世紀のイギリス人博物学者ウォーレスは、「種の起原という問題を解くため」、マレー諸島へ旅立つ。8年におよぶこの探検旅行のなかで彼は、C・ダーウィンとは別に動物地理学にもとづく進化論を構想し、ロンドンの科学界に大波乱を引き起こした。ボルネオの森でオランウータン狩り、セレベスの蝶の群れ飛ぶ渓谷など、驚きと尊敬と知性に満ちた視線で語られるマレー諸島の記録と、科学に捧げた崇高な精神が導かれた動物学的および地理学的な考察による近代科学の記念碑的傑作。上巻では、インド・マレー島群、チモール島群、モルッカ諸島の記録と、詳細な訳注、および探検の旅程やゴクラクチョウ分類体系の変遷などの資料を併載。
目次
インド・マレー島群
チモール島群
セレベス島群
モルッカ諸島
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
5
本書後半に日本に滞在した医師モーニッケ氏という人物が出てきて、「もしや日本で最初に種痘を行ったあのモーニッケか!?(みなもと太郎知識)」と末尾の注釈を見たらまさしくその通りだった。19世紀の世界は狭い。2017/03/28
shrzr
1
「種の起源の謎を解くため」のマレー諸島への旅の記録ですが、記録の裏側にウォーレスの憎めない人格が透けて見えて、抜群に面白い紀行文学になっています。2012/03/11
takejin
0
博物学とは。研究者とは。そして、文章を組み立てる力も、科学者には必要なのだ。マレー諸島に行っているような気になります。2008/04/10