内容説明
人間は不可避的に問う存在である。自分自身の存在、根拠、意義を問うとともに世界の真理、意義、幸福をも探究する。人間の問いそのもののうちには、無制約的なもの、すなわち超越への開きが含まれているのである。知ることはなぜ可能か。人間はいったい何を経験するのか。この追究をとおして宗教性が人間の本質に深く根づいていることを確認し、人間と超越との関係を、超越に関わられ貫かれる人間という受動的観点から解明、さらに宗教的行為の基本構造へと考察を進め人間の存在と使命を浮き彫りにする。西洋中世哲学研究者として知られる著者が、長年の研究と思索の間に親しんだ哲学者、神学者、神秘思想家との対話にもとづき、磨かれた言語で宗教哲学の根本的考え方を明解にとく講演。
目次
第1日 人間存在に見られる無制約性―未規定性と尊厳の間に(全体の問題提起;人間の予備概念;超越への問いの精神論的可能根拠;精神における超越への本質的な関わり)
第2日 超越経験の根本理解と諸形態―日常を意義づける無制約的なもの(精神的経験;聖書的信仰の地平のなかに見られる超越経験;日常における潜在的超越経験;意義の経験と神との出会い)
第3日 宗教的行為の成立―自己実現としての脱自(宗教的行為の構造;根本的宗教的行為の諸形態)
著者等紹介
リーゼンフーバー,K.[リーゼンフーバー,K.][Riesenhuber,Klaus]
1938年フランクフルト(ドイツ)に生まれる。ミュンヘン大学卒、Dr.phil.;神学博士。1967年来日。現在上智大学教授
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