内容説明
蕗屋清一郎が下宿屋をいとなむ老婆を絞殺した。老婆がためていた大金をねらって…。容疑者として蕗屋の同級生斎藤勇があげられた。犯人として斎藤が確定したかと思われたが―。蕗屋は判事のおこなう心理試験にそなえ万全の応答を準備した。蕗屋の巧妙な策は成功したかとみえた最後の一瞬、そのまえに立ちふさがった名探偵!「D坂の殺人事件」解決以来のしろうと名探偵明智小五郎の登場であった。犯罪者の心理の曲折を追って、真犯人を追いつめる物語のおもしろさ。名作として不朽の名声をのこす傑作「心理試験」(大正14年)をはじめとする秀作短編7編を収録。江戸川乱歩(1895~1965)独自の世界を構成する、ファン待望の乱歩傑作集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マエダ
93
”ある条件下で行われる心理試験はデギロスの所謂「無辜のものを罪に陥れる」ことになりはしないでしょうか”ここの部分がなぜかいい2016/06/08
シ也
44
漫画になっていた「百面相役者」を読みたくて買った短編集。他の作品は全て既読だったのが惜しむところ。漫画の方がエグさや怪奇さは勝っていたが、さすが本家。なんとも言えない余韻を味あわせてくれる。しかし、このアイデアはトマス・ハリスのレクターシリーズのあれと同じな訳で、乱歩先生の頭のキレっぷりには頭が下がる。でもまあ、やはり一番の破壊力があるのは「芋虫」であろうか。「キャタピラー」のタイトルで映画にもなっているが、やはり妻の狂った愛は小説でないと楽しめまい。“好きな小説は?”と聞かれたら毎回この「芋虫」かやはり2016/05/11
めしいらず
44
乱歩版「罪と罰」。この主人公はラスコーリニコフと同様に選民思想の苦学生。その思想に基づき金を奪うべく老婆を殺める。ラスコーリニコフと違って常に冷静沈着。良心の呵責を毛程も感じず、更に友人に罪を被せさえする根っからの悪漢。明晰な頭脳で練った完全な計画通りに、取り調べの心理試験すら突破する。しかし明智探偵は、枝葉末節まで完璧に過ぎる故の、ある意外な綻びを見逃さない。主人公に気付かれぬよう独自に心理試験を施す。乱歩のいわゆる「探偵小説」の中で最上の作品と思う。圧倒的な面白さ。表題作のみ再読。2013/03/13
Vakira
32
乱歩創作順では 7作目 中1の頃読んだはずなのに記憶なし。これって大好きなドストエフスキーの「罪と罰」じゃん。ラスコーリニコフ的青年、高利貸しの老婆登場。心理試験に頼らない 犯人発覚のアイデアまで超類似。またしても明智小五郎登場。ストーリー、キャラ設定、「罪と罰」にソックリだと思ったら、晩年の自己作品解説ではフロイトの心理学とドストエフスキーの「罪と罰」のパクリ白状。やっぱりね。2018/09/30
おすし
28
「心理試験」「二銭銅貨」「二廃人」「一枚の切符」「百面相役者」「石榴」「芋虫」。 「芋虫」以外、初読。「二銭銅貨」笑った。結局なけなしのお金使っちゃって、若いっていいね!「一枚の切符」は推理にも唸るけど、オチにゾワッ!!2020/08/06
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