内容説明
12年間の記憶を失った男は、生と存在との根源的問題に直面した。俗情との結託を排する思考、厳格な文章が到達した世界。
著者等紹介
大西巨人[オオニシキョジン]
小説家、批評家。1919年、福岡市生まれ。九州帝国大学法文学部中退。毎日新聞西部本社勤務を経て、対馬要塞重砲兵聯隊の一員として敗戦を迎える。戦後、福岡で雑誌「文化展望」の編集に携わり、「近代文学」第二次同人となる。48年、『精神の氷点』『白日の序曲』を発表。52年に上京。以後幅広い創作活動を続けている。俗情との結託を排した思考、及び厳格かつ論理的な文章が創造する独自の世界は、日本文学の枠に止まらない。ほぼ四半世紀を費やして完成した4700枚の大長編小説『神聖喜劇』は、現代日本文学の金字塔と称される。「群像」創刊50周年企画(私の選ぶ戦後の文学ベスト3アンケート―文芸評論家51名による)では、『神聖喜劇』が埴谷雄高の『死霊』に次いで第2位、作家部門でも第6位
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空箱零士
1
(続刊) 85年~97年の記憶を失った麻田布満が友人・橋本の冤罪事件に関わる話。冤罪事件も記憶喪失の謎もミステリ的に読めるが、氏独特の引用の多用・晦渋な文体には手を焼くだろう(それが氏の魅力でもあるが)。やはり麻田の失われた記憶の有り方が目を引く。積極的な記憶の回復を望まない決意をする一方で、決意の一端に記憶喪失中に発表された文学の知識があり、彼の記憶が冤罪事件に思わぬ展望をもたらす。十二年間という記憶の「深淵」がいったい物語に何をもたらすか。恐らく下巻で麻田は彼自身の「深淵」と向き合うことになるだろう。2012/11/20
...
0
上巻ではいろいろな設定がちりばめられるだけで、水とお油のように混ざり合ってるようで、それぞれが別個に主張している。これからどう、物語が収束していくのだろう。2015/12/15
いちごみるく
0
"〈人生〉とは〈記憶〉である。人は、たとえ時間的に百年ほど生きても、そのうち六十年の記憶しか当人になければ、その〈人生〉は、六十年であり、そのうち二十年の記憶しか当人になければ、その〈人生〉は、二十年である。"2024/05/28
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