光文社新書<br> 日本とドイツ 二つの戦後思想

電子版価格
¥726
  • 電子版あり

光文社新書
日本とドイツ 二つの戦後思想

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 244p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784334033132
  • NDC分類 309.021
  • Cコード C0210

出版社内容情報

本書は、「過去の清算」を軸にしてドイツと日本の六十年間の「戦後思想」を比較しようとするものである。

◆素朴な疑問から考えてみる――誰も書いていなかった日独戦後比較思想史
○「戦争責任」は誰にあったのか
○なぜ日本は「人道に対する罪」に問われなかったのか
○「普通の国民」も加害者なのか
○ドイツはどうやって「反省」したのか
○なぜ日本の左翼は護憲主義になったのか
○なぜ日本は「何でもマルクス主義」になったのか
○日本で「過去の清算」議論が進まないのはなぜか

〈目 次〉
はじめに 二つの「戦後」

第一章 二つの「戦争責任」
 「国際軍事裁判」はインチキか?
 「人道に対する罪」を背負ったドイツ
 国家の責任と個人の責任
 一億総懺悔
 被害者か? 加害者か?
 「普通のドイツ人」の加害者性

第二章 「国のかたち」をめぐって
 「国のかたち」は変わったか
 分断された「国のかたち」
 ナショナリズムへの「特殊な道」
 日本の「特殊な道」
 「歴史家論争」とアイデンティティ
 「憲法愛国主義」と「護憲平和」
 ポスト伝統的アイデンティティ
 代理戦争にもなり得ない「教科書問題」
 敗戦後論の「ねじれ」

第三章 マルクス主義という「思想と実践」
 思想的武器としてのマルクス主義
 日本における“何でもマルクス主義”
 文明と野蛮の連鎖
 「哲学」が陥る「理性」の罠
 丸山眞男的な視点
 六八年革命と分裂する左翼思想
 コミュニケーション的理性と共同幻想

第四章 「ポストモダン」状況
 ポストモダンの導入と批判的知性
 ドイツのポストモダニズム
 批判理論の「原点」へ?
 日本に広がるポストモダンな空気
 ニュー・アカデミズムのパフォーマンス
 メディア論と「知識人」の黄昏
 普遍性と物語の狭間で

おわりに

内容説明

本書は、「過去の清算」を軸にしてドイツと日本の六十年間の「戦後思想」を比較するものである。

目次

第1章 二つの「戦争責任」(「国際軍事裁判」はインチキか?;「人道に対する罪」を背負ったドイツ ほか)
第2章 「国のかたち」をめぐって(「国のかたち」は変わったか;分断された「国のかたち」 ほか)
第3章 マルクス主義という「思想と実践」(思想的武器としてのマルクス主義;日本における“何でもマルクス主義” ほか)
第4章 「ポストモダン」状況(ポストモダンの導入と批判的知性;ドイツのポストモダニズム ほか)

著者等紹介

仲正昌樹[ナカマサマサキ]
1963年広島県生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程修了(学術博士)。金沢大学法学部教授。社会思想史・比較文学を専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

47
このような新書の割には中身が結構重たい感じがしました。戦後の思想の系譜をドイツとの比較で分析しておられますが、マルクス主義についての分析が結構大きなウエィトを占めている感じがしました。もう少し民衆の考え方まで下りてくるのかと思っていたら若干アカデミックな部分が多い気がしました。ドイツは戦後総括をしていますが、日本はまだ行っていないという気がします。それは、ヒトラーがいるのでドイツはしやすかったのでしょうが、日本の場合は天皇(実態は軍部)を表に出していたので難しいのでしょうね。2015/03/06

たばかる

20
戦後思想をポストモダンまで振り返る。さまざまな人名を挙げつつ簡潔な説明で済ますところに筆者の力量を垣間見る。/同じ敗戦国でも戦後の状況は異なった。ドイツは西欧と同じような市民社会に限界を感じる一方で、ドイツのナショナルな立ち位置はナチの再来だからと憚られる。また東西冷戦の中間地であるからマルクス主義思想も慎重に対立している。対して日本は距離が離れているためある意味緊迫感はない。しかし西欧出の概念がその成立の過程など踏まえられず理解できる所だけつまみ食いして流入してきたこともあって、どこか本質がずれている。2021/03/03

ラウリスタ~

15
仲正2冊目、これも凄まじく面白い。「戦後責任」「ネーション」「マルクス主義」「ポストモダン」の四点について二カ国の思想史をレクチャー。一つ目とかが最初に読者が興味を持つところだろうが、後半になるにつれて、ドイツ思想を知る日本人から見た、日本現代思想史発達の問題点というのが浮き彫りになってきて、引き込まれる。「ノリつつしらける」とか東のデリダ的郵便とか、当時を生きていない、今の若者にとって「常識」になってしまったことの誕生の瞬間とか。全てを分かるとこだけつまみ食いする八百万の国なのが日本、切迫感のない思想2017/12/30

白義

15
日本とドイツ、敗戦を経験した両国の思想史から戦争責任と国家のあり方を巡る議論を辿り、比較している。政治的作為はあれど自ら戦争責任を主体的に捉え憲法愛国主義を始め自覚的に「戦後思想」を言語化したドイツに対し、日本は受動的であるとする構図を取りながらも安易に片方を上げ過ぎることもなく、さらに随所に右派左派双方への著者の強い皮肉が冴え渡り、戦前編以上のアクチュアリティが光る内容。ナショナリズムの話を消化して以降は日独マルクス主義とポストモダン受容の通史となるがこちらも教科書的ながら濃密、極めて充実した一冊だった2016/08/20

ころこ

8
本書のレビューを書こうと「日本とドイツ」と入力して検索してみたら、複数の著作がヒットしました。他を読んでいないので断言できませんが、恐らく本書は一番道徳的ではない著作といえるでしょう。大体予想できるのは、ドイツは反省して日本は反省していないか、ドイツも案外狡猾で日本も案外頑張っているのどちらかでしょう。どちらのルートも道徳的含意がベタベタ着きすぎていて、読んでウンザリするので読まないか、鈍感で読了するかのどちらかでしょうか。本書はそういった批判を内面化しており、日本とドイツの置かれた歴史的、思想的相違を丁2017/07/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/528304
  • ご注意事項

最近チェックした商品