内容説明
そこは、家でも外でもないところ。“最高の場所を見つけました”高校生が描く、静かな癒しの物語。第43回文藝賞受賞作。
著者等紹介
中山咲[ナカヤマサキ]
1989年、岐阜県に生まれる。現在、高校3年生。『ヘンリエッタ』で、第43回文藝賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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千穂
41
中山さんは最近初読作家として、血と肉を読んだ。このヘンリエッタは高3の時の作品。文藝賞受賞。高校生の作品とは思えない。静かで穏やか、流れるような、童話のような感じでもある。主人公まなみは言ってみれば引きこもり。ヘンリエッタの不思議な住人との同居生活から少しずつ外の世界へと目を向けられるようになっていく。2017/07/29
メルト
27
ヘンリエッタという名前の家に暮らす3人の女性の物語。冒頭に「ヘンリエッタには水のような空気が満ちている」という言葉があったけど、この本にもその空気が満ちていました。とりとめのないような物語が続くため、上手くは言えないけれど、穏やかで優しくて、でも背後には薄い陰りがあって…。この心地よい空気感にいつまでも浸っていたいような、そんな物語でした!2017/12/11
とうゆ
14
ヘンリエッタに住むのは、傷ついた人たち。この柔らかな家で、休息を必要としている人たち。現実にもこんな居場所があればと思った。癒やしの物語。2015/06/02
まみ
11
17歳の女の子が書いたお話、というので興味を持ちましたが、なかなかよかったです。空気や匂いや音に関する過敏とも思える描写から、主人公の世界に対する感触が生々しく伝わってきた。ちょっと風変わりな人たちの描き方やモチーフの使い方は初期の江國香織を思わせた。いちごとコンデンスミルクを製氷器で凍らせて食べよう、というのがすてき。2009/07/20
神尾裕太@もう資格持ち
9
独特の文体。甘ったるい感覚がするけれど、それが心地よい人には良書。世間とのズレで苦しんだ少女が、同じく世間からズレてしまった二人の女性と共に生きていきながら、少しずつ現実に立ち向かおうとするお話。題材としてはよくあるんだが、設定や家の感情、心に抱える暗い影といった物(普通は書かれない)は、作者の年齢にしてはよく書けたと思える物。影なく光のある作品は書けないと再認識させられる。今はこの方向性で模索して欲しい。二作目を待ちたい。2009/04/10
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