内容説明
初代清衡は波瀾の人であった。藤原秀郷(俵藤太)の血を引く父・経清は、蝦夷の娘を娶り、清衡を生した。だが前九年ノ役に義兄・安倍貞任と結んだ父は敗死、母は敵方の清原氏に再嫁した。清衡は父の仇を養父としたことになる。続く後三年ノ役。清原氏に仇を報いた清衡は、藤原氏に復帰し、父、養父双方の遺領をその支配下に置いた。奥州藤原王朝の草創であった。巨匠独創の史観で描く歴史巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TheWho
11
作家で、天台宗僧侶の著者が、中尊寺貫主時代に奥州藤原四代の描いた四巻の物語の第一巻で、奥州藤原氏初代の藤原清衡の一代記。先に読んだ「武神―八幡太郎義家」では、源家の立場からの前九年・後三年の役の解釈だったが、本著は、真逆で蝦夷側の立場で、概ね高橋克彦「炎立つ」の先達として、同じ立ち位置での展開であった。特に深謀遠慮の武将、政治家としての清衡を描写していた。これも高橋克彦と同じ東北地方にルーツがあり、中尊寺貫主と云う立場からも平泉文化への憧憬があるかも知れない。次巻基衡の巻も楽しみです。2018/03/29
BIN
4
藤原4代ということで1巻目は初代清衡とその父経清。あとがきにこの本を書いた理由は著者が中尊寺の住職だからだという。源氏(特に頼義)に対して結構ボロクソに言っているのは個人的にツボにハマった。平泉を仏教国にした背景とか書いてあるし、さすがに寺には詳しい。ただ高橋克彦や「炎立つ」や「火怨」を読んどいた方がより入りやすいかな。2017/11/29
Ryuji
1
★★★☆☆著者の今東光さん(故人)は 中尊寺の住職だった方だそうです。お寺の住職がこんな小説を書けるのか!というのがびっくり。作中の時代考証が長くてストーリーが中断されるのがちょっと残念ですが、奥州藤原氏についてとても丁寧に書かれています。ちょっと難解な部分もあるので同時代を描いた「炎立つ」を読んだ後にこれを読むと分かりやすいかもしれない。2013/01/29
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
0
小説家東光さんがあれこれの後中尊寺貫首に。その東光さんが書く奥州藤原氏だからおもしろい。一巻初代清衡、前九年後三年の役、登場人物も多く、家系図を書きながら読みんだ。後の巻で伝説になる人たちの勢いある時代。比叡山の蓮光との出会いや、清衡が奥州に極楽浄土を作ろうと思ったいきさつが印象的だった。恩讐を乗り越えて蝦夷で討たれたもの、蝦夷を討ったものを供養するためと。「討つ討たるるは不幸な宿命」「討たれる気になってはならないが、まいて討つ気になっては相成らぬ」敵であっても憎んでも憎みきれない相手などなかったと。2021/01/20
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