スルタンガリエフの夢―イスラム世界とロシア革命

スルタンガリエフの夢―イスラム世界とロシア革命

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  • サイズ B6判/ページ数 366,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784130250665
  • NDC分類 209.6

出版社内容情報

ロシア革命の閃光と共に登場したスルタンガリエフ-このタタール人革命家が実現しようとしたものは何か?社会主義とナショナリズムとイスラムの調和と総合を目指した彼の〈夢〉は,「抑圧された民族」の中で再生産され,現代史の焦点となっている. サントリー学芸賞受賞

内容説明

スルタンガリエフは、きらめくようなひと筋の光芒を歴史の舞台に残しながら、またたくまにロシアの暗がりの中に姿を消した星である。ロシア革命の閃光と共に登場したスルタンガリエフは、ムスリム民族共産主義の父であった。このタタール人革命家は、ボリシェヴィキの思想にはらまれる「普遍主義」や「オリエンタリズム」の限界をいちはやく見ぬいていた。かれは、ムスリム自身の手で旧ロシア帝国のムスリム民族地域の脱植民地化をはかろうとした知られざる預言者でもある。スルタンガリエフは、生き急ぎ非業の死にたおれた須臾の人生において、社会主義とナショナリズム、それにイスラムの調和と総合を目指した。この「第三世界社会主義」の忘れられた先駆者は、ベン・ベッラ、フランツ・ファノン、アリー・シャリーアティーなどにも深い感銘を与え、激動する中東イスラム世界の現代史にも大きな衝撃を静かに及ぼしている。

目次

序章 イスラム・社会主義・ナショナリズム
第1章 タタールとロシア(「異教徒の国で」;もう一つのディアスポラ;イスラム改革思想;スルタンガリエフの精神的系譜)
第2章 民族と革命(社会主義のウンマ;タタール三月革命)
第3章 「異端」の社会主義(スルタンガリエフの革命思想;ムスリム民族共産主義への道と挫折)
第4章 並行する権力(社会主義化するイスラム;タタール自治ソヴェト共和国)
第5章 スルタンガリエフ主義、神話と現実(陰謀;「反革命」)
終章 預言者スルタンガリエフ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

著者の生き様を学ぶ庵さん

35
ムスリム・タタール人・ナショナリズム・共産主義。四つのキーワードが重なるところにタタールの英雄スルタンガリエフが存在します。山内昌之先生の教科書として読みました。大学のときも入りにくいテーマでしたが、今読んでもスルタンガリエフの知名度が低いだけに、やはり入りにくいですね。今では岩波現代文庫に収録されているそうです。2016/10/19

可兒

4
ロシア革命期におけるタタール人の話。民族主義や宗教を高く評価した共産党員の活動と失脚。あとで読み直す価値がある2013/03/26

A.Sakurai

2
中央アジアとロシアという主題で真っ先に思い出したのが本書.山内先生の最も有名な本だが未読だった.ロシア革命期のタタール人の革命家の物語.タタール人は中央アジアの北に接して先立つ300年前にロシアに植民地にされている.植民地の非抑圧民族としては同じような境遇で,中央アジアの状態も端々に窺い知れる.植民地,ムスリム,共産主義の関係を主題にしているが,その世界システム論ベースの視点は面白く,ソ連が崩壊し,アラブの春後の今でもメカニズム自体は現役だ.ていうか,より先鋭かもしれない.2013/02/02

ななっち

1
タタールのくびきに対するロシア人の恐れと、植民地主義の中で搾取される側のムスリムとの葛藤。2012/05/22

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