出版社内容情報
ロシア革命の閃光と共に登場したスルタンガリエフ-このタタール人革命家が実現しようとしたものは何か?社会主義とナショナリズムとイスラムの調和と総合を目指した彼の〈夢〉は,「抑圧された民族」の中で再生産され,現代史の焦点となっている. サントリー学芸賞受賞
内容説明
スルタンガリエフは、きらめくようなひと筋の光芒を歴史の舞台に残しながら、またたくまにロシアの暗がりの中に姿を消した星である。ロシア革命の閃光と共に登場したスルタンガリエフは、ムスリム民族共産主義の父であった。このタタール人革命家は、ボリシェヴィキの思想にはらまれる「普遍主義」や「オリエンタリズム」の限界をいちはやく見ぬいていた。かれは、ムスリム自身の手で旧ロシア帝国のムスリム民族地域の脱植民地化をはかろうとした知られざる預言者でもある。スルタンガリエフは、生き急ぎ非業の死にたおれた須臾の人生において、社会主義とナショナリズム、それにイスラムの調和と総合を目指した。この「第三世界社会主義」の忘れられた先駆者は、ベン・ベッラ、フランツ・ファノン、アリー・シャリーアティーなどにも深い感銘を与え、激動する中東イスラム世界の現代史にも大きな衝撃を静かに及ぼしている。
目次
序章 イスラム・社会主義・ナショナリズム
第1章 タタールとロシア(「異教徒の国で」;もう一つのディアスポラ;イスラム改革思想;スルタンガリエフの精神的系譜)
第2章 民族と革命(社会主義のウンマ;タタール三月革命)
第3章 「異端」の社会主義(スルタンガリエフの革命思想;ムスリム民族共産主義への道と挫折)
第4章 並行する権力(社会主義化するイスラム;タタール自治ソヴェト共和国)
第5章 スルタンガリエフ主義、神話と現実(陰謀;「反革命」)
終章 預言者スルタンガリエフ
感想・レビュー
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著者の生き様を学ぶ庵さん
可兒
ななっち