中公新書<br> 中国、1900年―義和団運動の光芒

中公新書
中国、1900年―義和団運動の光芒

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  • サイズ 新書判/ページ数 301p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121012999
  • NDC分類 222.068
  • Cコード C1231

内容説明

一九世紀末、山東省に起きた義和拳・大刀会など小林拳の修得者による反教会闘争は、列強の侵略に喘ぐ清朝の「下から」の抵抗運動として急速に華北平原を席巻し、「文明」に対する「野蛮」の挑戦として、世界を震撼させた。この「義和団運動」を狂熱的排外運動あるいは反帝国主義運動と解して事足りるのか。本書は、通説に反してこれを、本来は相容れない儒教・仏教・道教の三教が混成した、文化帝国中国の挙国的千年王国運動と解する。

目次

序章 十字架と文化帝国
第1章 武林伝説―大刀会
第2章 梅花拳から義和拳へ
第3章 神拳から義和団へ
第4章 文化帝国の千年王国化
第5章 文化帝国の宣戦の原理
第6章 アンチクリストとの戦い

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

韓信

1
義和団運動を反キリスト教・反列強の儒・仏・道教混在の千年王国運動として捉えて、その盛衰を描く論考。山東を舞台に、外交特権を振りかざして郷村を壟断する教会とその威を借る教民の横暴、それに抵抗する民衆からなる大刀会・梅花拳・神拳など少林系武術団体の活動から義和団の誕生までを詳述しており、武林のネットワークによる連携・教会襲撃や、頼みにならぬ官の態度など、描かれる内容はほぼ水滸伝。後半も北京における籠城戦は端折られてるものの、清廷におけるパワーゲームや列強との駆け引きも詳述され、非常に充実した内容。2023/07/09

diet8

1
勉強になった。義和団側の首謀者が特にいないというのは印象的。●義和団事件は起こるべくして起こったと結論。挑発を重ね、窮鼠が猫を噛むのを待っていた列強が悪く、列強の在華最高責任者であるコンガー、マクドナルド、ケッテラーが、事件の最大責任者とする。●気になる点。密告者を、最低のやからと述べる。公平な歴史家というより現代の庶民感情としての私見をポロっと述べる。よって先の列強悪玉の紋切り型結論も眉唾に感じる。少林寺拳法を見てないと書く。その気になれば近隣の道場で見学できるはず。一夏で書き上げ、やっつけ感がする。2016/10/10

bitotakeshi

1
カンフーVS近代兵器! 義和団運動はどのようにして起こったのか、天主教の布教・列強の中国進出を端緒とし、社会矛盾が噴出し悪化する治安、対抗手段としての地主の結束、広まる中国拳法、深まる農民と教民の対立、後手に回る清朝政府、そしてついに列強が大陸へ乗り出す……。著者は千年王国思想という視点から義和団運動は起こるべくして起こったと結論づけている。さらに、本書で特徴的なのは義和団と白蓮教には、実質的な関わりはないと断じているところである。この辺りについては、もう少し掘り下げて調べてみたい。2015/12/28

西條風太郎

1
義和団事件のディテールについて、かなり具体的にかつ当事者の心にも焦点を当てて描いている。キリスト教勢力が中国の貧民を抱きこんで理不尽な権力者と化し、庶民を不当に圧迫し続けた結果、不満を持った拳法家集団がクリスチャンを襲撃し始める。一見思想の対立に見えるが、実は生活に関わる実利的な対立から始まっており、その物語が巧みな文体で説明されていて読むのに苦痛が無かった。通説とは少し違った意見を持っているらしいのだけれど、僕は通説をよく知らないのでなんともいえない。ただただリアルだな、なるほどな、と思った。好感。2011/08/19

ぬーん

0
義和団事件に至る流れが仔細に述べてあるので、読むのがしんどい感じもあったが、個々の話はけっこう面白い。清国でキリスト教徒(改宗した一般清国人含め)が幅を利かせて、非キリスト教徒と対立しまくってたよ、という話。ならず者の神父が現地女性を孕ませて、胎児を教会の床下に埋めたとかいう話が書いてあったと思う。あと義和団運動は儒教道教仏教ごちゃ混ぜの千年王国思想だったんだぜという話。2013/10/23

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