内容説明
赤十字の創設者アンリ・デュナンは、比類なき情熱で抜群の行動力を示す一方で、自らつくった組織から常に孤立してしまう独断的な性格の持ち主であった。そのため、赤十字以外にも、彼の手を離れてはじめて、存分にその機能を発揮しだした事業は数多く存在する。本書は、彼の生い立ち、彷徨生活から、破産、落魄の死までを辿ると同時に、彼を生んだ19世紀ヨーロッパの、領土拡張主義と人道主義とが頂点に達した時代背景を描く。
目次
序章 揺れる赤十字旗
第1章 ジュネーブで生れ育ち
第2章 19世紀最大級の会戦
第3章 赤十字の創設
第4章 破産宣告受け、なお
第5章 ノーベル平和賞受賞へ
第6章 「平和」へ二つのアプローチ
第7章 デュナンと日本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぬ
2
赤十字の創設者がこんな変わった方だとは思ってもいませんでしたww興味深い人生です^^2010/10/09
ジュンジュン
0
"赤十字の父"というより、"提唱者"といった感じ。赤十字創設に多大な影響力を発揮したかと思っていたので、なんだか拍子抜け。
えすてい
0
「接続助詞「が」の人生」という表現が秀逸だった。実業家として商売には向いていなかったが、自分の心の中には何か放ってはおけないものがあった。ソルフェリーノの出来事・五人会議・赤十字の発足・自己破産・転々とするみじめな生活・再発見とノーベル平和賞、一筋縄ではいかない感受性の持ち主だったアンリデュナン。もし彼が今の赤十字を見たら何と言うだろう?