内容説明
娘たちを政治の道具に権勢をほしいままにする藤原氏、一門ながら無欲恬淡な漢学者の娘に生まれ、世の不条理を懐疑しつつ、歌や物語の世界に真実の愛を求める式部の多感な青春を濃密に描く歴史大作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あやの
41
紫式部の少女時代から27歳まで。登場人物が生き生きと描かれている。清少納言や藤原道綱母、和泉式部との関係なども面白いが、道長をはじめとする藤原摂関家のものすごい謀略の数々!上級貴族の権力争いに振り回される紫式部の一族が段々憐れになってくる。女性は政争の道具というイメージが強いが、それを逆手に取って、強かなタイプの女性はうまく立ち回っていたとか。いつの時代でも女性は強いのだ!下巻で彰子に出仕するのか。わかってはいるが、系図が複雑すぎて辿るのが大変…… 2020/02/05
紅香@新刊購入まで積読消化あと2冊⭐︎
26
時は平安。ここに同じ藤の木に分かれた枝葉が見える。藤原氏一門の咲いては散る栄枯盛衰の藤絵巻。その花は美しいのだろうか。。天皇の外戚になることだけが誉れだった時代。その不条理さに公平さはどこにもなく、私利私欲の悪香だけが宮内に染み付いている。明日のことなど分からない危うさの中で小市、のちに紫式部となる利発な少女はおのれの生き方を模索する。蜻蛉日記の作者。自由奔放な御許丸。清原元輔の娘。賢い女性たちが今でも鮮やかに生き延びている原点がここに。男に寄りかかる人生を送るのかそれとも。。小市の選択はいかに。下巻へ。2022/02/16
アカツキ
13
紫式部の幼少時から国司になった父についていく27歳頃まで。平安時代の有名どころやエピソードがこれでもかと詰め込まれているのは贅沢で面白いけれど、紫式部の物語を読んでいるのに本人は蚊帳の外で、延々と宮廷の権力争いを読まされるのは少し辛い。女と酒癖の悪い将来の夫・宣孝のしつこい求愛もだけど、貴族の舎弟になってヘラヘラしている紫式部の愚弟にイライラ。学問の家柄なのに物覚えが悪くて身の置き所がないのはわかるけど、自分を諦めて軽佻浮薄に生きる様が虚しい。源氏物語を書く種が蒔かれたところで下巻へ。2022/10/12
さき
1
九月文楽で生写朝顔話、蛍狩りの段を観ているときにこれを思い出して久しぶりに再読。女子供だけで出掛けてしまって危機に遭い、どうにか免れたはいいものの人生を変える出逢いをしてしまう深雪。それを見てるときに本作の周防を思い出したのだった。そして周防と保輔の恋はもっと透明で切ない。とは言え彼らは脇役。紫式部と言われると恐れ入るが作中の小市は青臭くもありシンパシー感じるところもあり。摂関政治が頂点に登り詰める時代を庶民よりの目線で描いていてやっぱり面白い。初読1991年。2017/10/08
DEN2RO
0
藤原為時の娘小市(紫式部)の少女期から20代半ばまでを物語ります。藤原北家の生まれながら、学者の家であり受領階級である生い立ちは、貴族社会において複雑な物思いを常に強いられます。中でも道長の立身は大きな影を投げかけます。父と越前に下るところまで。2024/01/13
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