内容説明
悪逆苛烈な始皇帝の圧政下、天下第一の人相見である許負は、斉王の末裔、田氏三兄弟を観て、いずれも王となると予言。末弟の田横には、七星を捜しあてよという言葉を残す。秦の中央集権下では、王は存在しえない。始皇帝の身に何かが起こるのか。田横は、県令と郡監の罠を逃れ、始皇帝の太子・扶蘇より厚遇を得るのだが…。楚漢戦争を新たな視点で描く歴史巨編、疾風怒涛の第一巻。
著者等紹介
宮城谷昌光[ミヤギタニマサミツ]
1945(昭和20)年、愛知県生れ。早稲田大学第一文学部英文科卒。出版社勤務等を経て’91(平成3)年、『天空の舟』で新田次郎文学賞を、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。’93年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞受賞。2000年、司馬遼太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
63
斉における田氏一族について書かれたものです。項羽や劉邦やその関係者などが斉の立場から書かれていて新鮮な感じがしました。今までの中国のほかの作品とは異なっている気がします。ただ田という名前が結構出てくるので読む問いには整理しておぼえていたほうがいいかもしれません。孟嘗君もそういえば田氏でした。2015/04/30
著者の生き様を学ぶ庵さん
37
時は秦王朝。太公望の斉国は田一族に簒奪され、その田氏の湣王も燕の楽毅軍に滅せられ、生き延びし者の末裔が狄の田氏三兄弟の祖父なり。三兄弟は棟梁の田儋、従兄の田栄・田横兄弟たり。三兄弟はいずれも王になるとの予言ありしも、命を狙はれ、田横は王にはなれず、秦の太子・扶蘇が王女・蘭の護衛兵になりにけり。田横は未だ主役に当たらず、時代の主役たる始皇帝・嬴政は客死せり。宦官・趙高と丞相・李斯、始皇帝が末子・胡亥の腐敗臭漂う密約は司馬遼太郎の『項羽と劉邦』に似て、玄徳多き田横と対極にあり。徳と腐敗臭は中国史に不可欠なり。2016/01/25
はま
24
再読。ホントは「楽毅」読もうと思ったら手元になくて代わりに読んだらやっぱり面白かった。いまヤングジャンプで連載中の「キングダム」あれの数十年後のお話なんだけど、秦王政すなわち始皇帝、あれとこれが同一人物と思えない>_<この時代のはどれもそうだろうけど(笑)2013/07/11
takehiro
14
序盤では田姓の人間がたくさん出てきて誰が誰だか笑 趙高が胡亥と李斯を巻き込む様子がエグい。2022/03/23
サチオ
14
再読。秦末から漢初を見事に生きた田横。やはり強い男に憧れる!法をねじ曲げ行使する秦の役人と、抗い苦しむ旧他国の民の対比が色濃くみえる。己を貫く心の強さが垣間見えたが、まだまだ大乱は先である。2015/05/25