内容説明
どこまでも世間と合わない自分だから、いずれは窮死するのだろう。そう感じながら、少年は浅草六区を歩いていた。昭和の大衆演劇全盛時代、ここには彼の“同胞”がいた―。「麻雀放浪記の阿佐田哲也」として人気作家となった後も、異端の芸人に惹かれ続けた色川武大。エノケン、ロッパ、時代を下ればトニー谷、五代目柳朝…。はみ出し者への共感が滲む、奇人・落ちこぼれ36の肖像。
目次
化け猫と丹下左膳
馬鹿殿さま専門役者―小笠原章二郎のこと
アノネのオッサン
故国喪失の個性―ピーター・ローレ
流行歌手の鼻祖―二村定一のこと
ガマ口を惜しむ―高屋朗のこと
誰よりトテシャンな―岸井明のこと
マイナーポエットの歌手たち
チャンバラ映画の悪役たち
パピプペ パピプペ パピプペポ―杉狂児のこと〔ほか〕
著者等紹介
色川武大[イロカワタケヒロ]
1929‐1989。東京生れ。東京市立三中に入るが、学校になじめず中退。戦後の数年間、放浪と無頼、映画と演劇の日々をおくる。雑誌編集を経て、1961(昭和36)年「黒い布」で中央公論新人賞を受賞。その後、阿佐田哲也名義で『麻雀放浪記』など多くの麻雀小説を手掛ける。’77年『怪しい来客簿』で泉鏡花賞、’78年『離婚』で直木賞。’81年「百」で川端康成賞をそれぞれ受賞する。’88年には『狂人日記』で読売文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ふろんた2.0
17
色川武大が綴る愛すべき俳優、芸人、スポーツ選手。2016/05/30
タク
16
孤高で粗暴で図々しく、それでいてチャーミングで愛すべき戦前生まれの芸人達(スポーツ選手含む)について描かれたエッセイ集。色川武大(=阿佐田哲也)の愛情に満ちた筆致が、本作を陰で支えています。2011/01/24
サーフ
10
昔の芸能の世界に興味あって何冊か関連本読んだけど、この本で初めて知る様な役者、芸人の事が取り上げられていて読んでいて楽しかった。2024/01/08
ウチ●
3
ドロップアウトの経験者でなければこの暖かな視点からの作品は生まれなかったんでしょうね。名前しか知らない方、名前さえ知らない方が多かったんですが、色川さんの浅草六区を徘徊した昭和の大衆演劇全盛時代が偲ばれました。劇場、銀幕からテレビへと時代が移りゆく中で愛すべきはみ出し者たちがいたことを忘れてはいけません。彼らのポリシーや人脈が思いの外現代の芸人さんたちに影響を与えているんだな~と知りました。「アーノネオッサン、ワシャ、カナワンヨウ。」by高勢実乗(愛川欽也ではない!!)2013/01/18
これおと
3
「男はつらいよ」のおいちゃんはやっぱり森川信がイチバンだよ!2011/06/05