内容説明
源氏亡きあと、物語の主役は二人の貴公子、薫と匂宮に引き継がれる。光源氏の「業」を背負った物静かな薫と、奔放で色好みの匂宮は、親友同士だが、女人への愛情表現は好対照。が、皮肉なことに二人は同じ女性を愛してしまう。二人の愛を受けた薄幸の美少女浮舟は、板挟みに悩みつつ、拒絶もままならず、ついに宇治川に身を投げようとする…。華麗なる王朝絵巻、感動の完結編。
目次
匂宮と薫の君(「匂兵部卿」「紅梅」「竹河」「橋姫」)
美しい姉妹(「橋姫」「椎本」)
恋のたくらみ(「総角」)
雪降りしきる宇治(「総角」「早蕨」)
匂宮のご婚儀(「宿木」)
忘れられぬ面影(「宿木」「東屋」)
いなか乙女・浮舟(「東屋」)
たちばなの小島(「浮舟」)
浮舟よ、いずこ(「浮舟」「蜻蛉」)
かげろうよりはかなく…(「蜻蛉」)
救われた浮舟(「手習」)
この世は夢の浮橋か(「手習」「夢浮橋」)
著者等紹介
田辺聖子[タナベセイコ]
1928(昭和3)年、大阪生れ。樟蔭女専国文科卒業。’64年『感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)』で芥川賞、’87年『花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女』で女流文学賞、’93年(平成5)年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を受賞。また’94年菊池寛賞を、’95年紫綬褒章を受ける
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
88
最終巻では宇治十帖が語られていきます。ドラマチックさは本編より若干薄まるものの、匂宮、薫、浮舟の関係にドキドキさせられました。匂宮と薫の諍いと、矛先が浮舟に向いたのには男の身勝手さだと思わずにはいられません。2人の男性に愛された女性の悲劇に感情移入してしまいます。優しい語りながらも宇治十帖のロマンを語り尽くしていて面白かったです。3巻通して読み、改めて源氏物語の世界を見せてもらいました。源氏物語の方も読みたいと思います。2016/08/15
タンタン
7
1〜3巻の講演CD36枚を図書館で借りて聞きました。36時間位?お聖さんの優しく軽やかなお声と深い古典の造詣で、「源氏物語」をわかりやすく、しかし品位は落とさずに語ってくれます。宇治十帖ってこんなお話だったんですね。出てくる人たちに魅力を感じられない。源氏の方が好きです。2020/12/31
逍遥遊
3
99-20160606-05 面白かった。現代でいえば薫も匂宮も金持ちのボンボンで、メンヘラな愛人である浮舟にマンション買ってやるから、俺の女になれっていうことですよね。間違いなく光源氏と頭の中将の方が遊び上手ですね。この本を読んで源氏物語の全体像が漸くわかりました。2016/06/06
石ころ
1
浮舟の見方が少し変わった2017/07/26
まどか
0
一巻を読んだときは、なかなか入り込めなかったが三巻になって、とても詠み易く感じた。源氏物語って変な終わり方だったんだな。この本を参考にして、源氏物語の訳本を読みたいと思う。2017/07/23