内容説明
山崎文学を育んだ水と商いの街、大阪。デビュー作『暖簾』から出世作『白い巨塔』『華麗なる一族』まで…多くの作品は、その歴史と文化なしには存在し得なかった。ベストセラー作家が愛して止まない街と人を、やわらかな上方言葉を交えて綴る珠玉のエッセイ集。敬愛する石川達三、松本清張両氏との白熱した小説論議も収録。
目次
第1章 あの人やつしやなあ―大阪あれこれ(大阪づくし;小説のなかの大阪弁;小遣帳 ほか)
第2章 半年勉強、半年執筆―私の小説信条(植林小説;取材方法と小説作法;不在のデスク ほか)
第3章 忘れえぬ人々(出獄;越えられぬ壁―追悼・石川達三;リュックサック―追悼・井上靖 ほか)
著者等紹介
山崎豊子[ヤマサキトヨコ]
1924(大正13)年、大阪市生れ。京都女子大学国文科卒業。毎日新聞大阪本社学芸部に勤務。その傍ら小説を書き始め、’57(昭和32)年に『暖簾』を刊行。翌年、『花のれん』により直木賞を受賞。新聞社を退社して作家生活に入る。著作はすべてベストセラーとなる。’91(平成3)年、菊池寛賞受賞。2009年『運命の人』を刊行。同書は毎日出版文化賞特別賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ねね
11
第一章はまさに大阪ならではのエッセイ集。もはや失われた風習や、大阪の心根(懐の深さと同居する抜け目ない政治眼)が鋭く楽しく描かれている。第二章は小説の書き方。飽くなき探求心がひしひしと感じられる。「それは『小説』の書き方なのか?」と思う程、各方面に物凄い(ある意味えげつない)取材方法。松本清張との対談がおもしろかった。本格小説とは斯く在るべしと思わせられた。第三章は恩人達に纏わる心情など。老いの中で綴られた言葉が迫る。未読の山崎先生の本が読みたくなった。後半ほど迫力が増してくる2014/06/10
はちゑ
5
山崎豊子先生の大阪愛に溢れる小話集。大阪での暮らしの話やハワイに船場の講義をしに行った話など、興味深いエピソードがたくさんです。出版した作品のオチなどの話もあるため、これから何か作品を読まれる場合はネタバレがふんだんに含まれていましたので、注意が必要です。2024/06/27
OMO
4
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2024/04/04
BebeCherie
4
It was meaningful to read her thoughts behind her works. It's sad she already passed away and we can't read more of her works anymore.2016/09/24
わ!
3
あの山崎豊子さんが、大阪の老舗昆布屋「小倉屋山本」のお嬢様だとは知らなかった。(この本の中で、「とんでもない」お嬢様だと言うことも書かれているが…)さっそく「小倉屋山本」の刻み昆布を買ってきて、食してみたぐらいだ。(茶漬けに入れると、美味しい!)それだけに大阪の船場の暮らしが、とてもリアルに書かれている。2018/03/15