内容説明
かつて「地上の楽園」と賛美する者さえいたこの国の経済は、なぜ破綻したのか。そこには社会主義国が共通に抱える問題とともに、北朝鮮独自の問題があった。北朝鮮は建国以来、社会主義国でありながら計画経済が機能しない「計画なき計画経済」国家であり、また「自立的民族経済」を掲げながらその実態は援助の上に成り立つ「“被”援助大国」であり、対外経済関係ではボーダレスには程遠いボーダ「フル」な経済国家だったのである。関係諸国から断片的に報告される各種データや研究書を丹念に調べ上げて、「秘密国家」のベールの奥に隠された経済の実態に迫る、渾身の研究の書。
目次
第1章 北朝鮮経済はなぜ破綻したのか(計画なき計画経済;“被”援助大国北朝鮮)
第2章 北朝鮮の経済「改革」は成功するか―中国・ベトナムとの比較(改革の始まりか;改革の前提条件と順序 ほか)
第3章 北朝鮮経済史(「解放」直後の北朝鮮;朝鮮戦争と戦後復興三ヵ年計画(一九五四‐五六年) ほか)
第4章 北朝鮮経済の現状(不足するエネルギー;厳しい農漁業生産 ほか)
終章 出口の見えない北朝鮮経済(回復の兆しのない北朝鮮経済;経済制裁に「効果」はあるか)
著者等紹介
今村弘子[イマムラヒロコ]
1952年東京生まれ。富山大学教授。東京大学教養学科卒。ジェトロ(日本貿易振興機構)、在北京日本大使館専門調査員などを経て現職
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感想・レビュー
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denken
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個人的には北朝鮮の肝は軍事にあると思っていて,だから軍需や武器輸出といった事項を期待していたのだけど,その方面には触れられていなかった。資料がないのかな。2010/07/28
高木正雄
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中国ソ連からの援助についてよくまとめられていると思う。2005年以前に日朝間の貿易額が北朝鮮の貿易の一割をしめていたとは驚きである2023/06/12
ぴ
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未読の手放し
Naota_t
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★3.5 思った以上に面白かった。現在は、当時よりも北朝鮮内経済は、回復しているような雰囲気は感じるが実際のところはどうなのだろうか。度重なるハイパーインフレーション、中国の大躍進政策に似つかない思いつき・無理やりな国民鼓舞運動、農業と工業への無知な政策による負のスパイラル。現状では、韓国に一旦は戦争で勝ったとは思えないような差が南北でついてしまった。国際経済とは隔絶した、ボーダフル経済で国が持ち続けるのも時間の問題だ。中国とロシアに完全にそっぽを向かれた時、韓国ににじり寄るしか道はなさそうな気がする。2019/10/01