出版社内容情報
藤原 帰一[フジワラ キイチ]
著・文・その他
内容説明
ナチの再来か、平和主義の欺瞞か。世界は再び「戦争の時代」に突入した。当代最上の知性が捉えた、世界大戦の足音。
目次
第1章 「正しい戦争」は本当にあるのか
第2章 日本は核を持てば本当に安全になるのか
第3章 デモクラシーは押しつけができるのか
第4章 冷戦はどうやって終わったのか
第5章 日本の平和主義は時代遅れなのか
第6章 アジアの冷戦を終わらせるには
著者等紹介
藤原帰一[フジワラキイチ]
1956年、東京生まれ。米イエール大学大学院政治学研究科博士課程留学を経て、84、年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東京大学社会科学研究所助教授などを経て、99年より東京大学大学院法学政治学研究科教授。2022年3月退職、現在東京大学未来ビジョン研究センター客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
104
2003年のイラク戦争後に出版された書籍の改題新刊。20年の間に国際情勢は大きく変わり、時事的な内容はもう参考にならない。でも、ここに語られる戦争・平和に対する藤原先生の確固とした信念には、時間を超えた普遍性がある。「正しい戦争」などありえない。戦争を否定することで、その否定すべき戦争を起こした側に対する制裁が正義になるパラドックス。平和とはそんな綺麗ごとではなく、「汚い取引や談合を繰り返すことでやっと保たれる打算に満ちた老人の知恵」のようなものだと言う。勇ましい正戦論が飛び交う今こそ、深く考えてみたい。2022/07/14
おやぶたんぐ
3
内容自体は20年前のもの。しかし、表題のほか、日本は核を持てば安全になるのか、日本の平和主義は時代遅れか、アジアの冷戦を終わらせるには等々、むしろ今こそ読み応えがあるかも。対談形式であることも手伝って、今般読んだ著者の本3冊の中では1番読みやすいと思われる。日本の平和崇拝陣営も軍事崇拝陣営も実はベクトルの向きが違うだけで、頭には観念的な戦争、ゲームとしての戦略しかなく、外交がないという指摘は辛辣。2023/06/01
lyrical_otoca
1
政治系の新書って当たり外れ激しいからびくびくしながら読んだけどこれはかなり真っ当だった。人類は愚かだから冷戦で具体的な痛い目を見なかった結果、戦争の認識のアップデートができなかったんだな。アメリカがやっぱり存在が大きすぎる。「戦争の記憶ってどうしても〈自分たち〉の犠牲に向けられる」は金言。大国こそチームプレイに徹するべきってのは本当にそうだけど、今の世界はその逆に走ってて怖い。2025/03/30
のらきち
1
audiobook。「戦争は良くない」「平和が一番」と言うだけは簡単だが、それを実現するには背景をよく理解し最もマシな手段を選ぶしかない。まして短絡的な方法を最善策のように叫んだり、独善的な枠組みを他国に押し付けるのはかえって危ないこともある。2024/02/01
cricketsmoker
1
必ずしも本文でタイトルの問いに直接的に答えているわけではないのだが、著者が編集者とのやり取りで話していること、つまりタイトルの質問に答えるために様々な状況を検討することは、誰もが思考実験してみるべきだろう。また、軍事力の有無だけでなく、戦争をした方が選択肢として妥当になってしまうような状況を作り出さないというのは大事な考え方。そしてその状況というのは戦争当事者同志だけでなく様々な要因が関係するので単純なものではない2023/10/12