内容説明
天安門広場に毛語録の波が揺れる。「造反有理」から「批林批孔」「四人組」まで、当時の中国はまさに混乱のるつぼであった。社会主義における変革とは何か。毛沢東のかかげた夢と、現主を膨大な資料の中から検証しつつ現代中国の起点といえる文化大革命の真相を、具体的かつ、実証的に抉り出した待望の書。
目次
第1部 文化大革命の十年(文革とはなにか;大いなる損失)
第2部 毛沢東思想の夢と現実(人民公社への夢;空洞化する人民公社;毛沢東の文革理念)
第3部 文革の推進者たち、被害者たち(紅衛兵―権力闘争に利用された若者たち;二つの妖花―江青と葉群;林彪事件の衝撃―「親密な戦友」の陰謀;中国のフルシチョフ・劉少奇;周恩来の役割と〓小平の復活前後)
結びに代えて―文革の亡霊
文化大革命資料一覧
現代中国略年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
中国全土を混乱に叩き落した「文化大革命」。どうしてもその被害やらに目が行きがちなこの事件だが、本書は主にその思想的背景を解説した一冊となっている。この視点には詳しくないのだが、人民公社や大躍進で権威が落ちていた毛沢東の一発逆転を狙ったものと解しており、それが裏付けられた形。人民公社設立から文革、そしてそれが天安門事件に及ぼした影響まで、被害ではなく文革の歴史を綴っているのはありがたいかな。1980年代に書かれたもので情報には古い部分があるかもしれないけど、文革の背景を押さえるには丁度いい一冊だと思う。2021/05/13
ステビア
18
89年に出版された本ゆえ現在の視点でどの程度記述が確かなのかわからないが、現代中国史の暗部をなんとなく知ることができた2020/06/01
kitten
17
嫁の蔵書より。中国の文化大革命は、言葉しか知らなくて、あまり良いイメージはなかった。実際に読んでみると、これはかなりヤバかったな。4人組の中に、毛沢東夫人が入っていたことにびっくり。女性でそんなに権力握ってたんだ。何がやばいって、教育を一切放棄して革命したところがヤバい。「文化」と名前付いてるけど、文化なんてほとんど関係なくて、ほぼ政治闘争。むしろ、スターリンの大粛清の方が近かった。これが50年前なのに、中国はよくここまで発展したよね。日本の戦後復興に匹敵するすごさじゃないかな。2022/07/15
荒野の狼
16
文化大革命を、毛沢東の人物像を解析しながら解説した書。本書に登場する人物、引用文献は多く、専門性が高い。文革を踏まえて、当時の情勢を解説している部分は、現代にも通じる部分は多い(例「資本主義社会は大きく変貌し、かつては社会主義が主張していたほとんどすべてが、資本主義体制のなかに取り込まれた。たとえば完全雇用の達成や失業保護、社会保障などの政策がそれである。20世紀終末では、資本主義もそれらしくなく、社会主義はもっとその名にふさわしくないp43.」)。2021/04/27
ryohjin
15
中国仏教を学ぶ機会があり、その時に見た現在の寺院の映像で仏像の多くがきれいな金色に輝いていました。中国の仏像修復のやりかたなのかと思ったのですが、文化大革命時に仏像が破壊されてその後制作されたものであることがわかりました。そのきっかけで本書を読みましたが、文化大革命は、当時の政治支配層の内部抗争の歴史であり、様々な幹部の名前が登場しては消えていく展開に気が滅入りました。その中で大衆も巻き込まれ紅衞兵による寺院や仏像破壊も起きており、長い歴史の中で何度かあった廃仏の直近のものになったと理解しました。2024/07/31
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