感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
15
日本は沈没しつつある船であり新たな船を造り上げることができぬ以上豆腐に潜る泥鰌となるしかない。客観的に総括しないと正しい前途へも歩み出せぬ。時計台放送の最後は美しいが闘争は敗北した。何も阻止も粉砕もしていないということを認める勇気をもつこと。痩せたソクラテスよりも太った豚が現実であるということ。洗脳されぬ貧困よりは洗脳された裕福が優るということ。怯え逃げ回る真人間をやめ吸血鬼となった方が闇の明るさ暖かさに気付けて幸せであるということ(©藤子・F・不二雄『流血鬼』)。闘い死んでいった者達に心から冥福を祈る。2018/06/07
アメヲトコ
7
1985年刊。著者は朝日の記者で、戦後の学生運動の勃興から(ほぼ)終焉までを通史的に描いた一冊です。色々な団体ができては分裂再編されるので系統図が欲しくなりました。70年代頃からの過激化と先鋭化は、それは人も離れるよねという感じ。全体的な叙述は極力客観的にということが目指されつつも、ところどころで著者の抑えきれない思いが溢れているところもあります。2024/05/02
sakesage
2
戦後学生運動の高揚期の破産や党内の分裂による山村工作隊などへの引き回しの後に路線転換して自殺者などを出した共産党の責任は大きい。というより、唯一の前衛党という害悪は、その後の学生運動の中でも引き継がれ新左翼党派の内ゲバや連合赤軍の同志殺しや大衆運動とかけ離れた英雄主義の産物であるテロリズムにつながっていく深刻な問題だと思う。これらが日本の社会運動の停滞を招いた事は疑うべくもないだろう。本書はその後の新左翼党派が行き着いている混迷期を予期しているかのようだ。2013/03/15
檜田相一
1
学生運動史を概観しようと思ったらまずこの本になるのだろう。終戦直後から80年代までの運動についてバランスよくまとまっている。闘争の描写は著者も血が騒ぐのか、ノリノリで書いていて面白い。2022/11/06
☆☆☆☆☆☆☆
1
こまっしゃくれた高校生だった頃は学生運動に漠然としたシンパを抱いていたはずなのに、今となっては子供の政治ごっこ、革命ごっこにしか見えないのがちょっと悲しい。「反権力」だけじゃあ結局なにも言ったことにならないのよね。「闘争」にまだアクチュアリティのあった、いい時代だったということだけはわかりました。2012/09/22