内容説明
日光にほど近い北関東の小藩では、新藩主、石見守成重の国入りが間近に迫っていた。石見守は、男児がなかった前藩主の養子で、領国に入る前から諸事検約を指示するなど切れ者との評判が高かった。若い藩士たちは新藩主の藩政に熱い期待を寄せるが、筆頭家老の嫡男、榎戸与一郎の立場は微妙だった。父をはじめとする家老たちが、従来のしきたりを重んじ、新藩主との間に確執を深めていたからである。与一郎は父に反目しつつも、いつしか藩の存亡を左右する暗闘に巻き込まれてゆく…。お家騒動をめぐる青春群像を爽やかに謳い上げた傑作時代長編。
著者等紹介
羽太雄平[ハタユウヘイ]
1944年、台湾生まれ。カメラマン、広告会社経営を経て、1988年、『完全なる凶器』で小説CLUB新人賞を受賞。以後、作家生活に入る。『本多の狐』で第2回時代小説大賞受賞
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感想・レビュー
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蕭白
9
主人公の明るさが心地よく、楽しい時間が過ごせました。2020/05/30
山内正
2
嫡士が酒井家から迎え江戸から藩に 国入りの新藩主が側用人を介して 藩の決め事を勧めようと国元家老等 に言い渡すが家老の嫡子の榎戸与一郎は裏で抵抗して行く気持ちの強さ に藩主も次第に苦慮して行く様が 緻密で面白い。2018/04/10
yasu7777
1
★★★★☆ 渋谷2818-1512021/05/17
水戸
1
峠って、なるほど! そういうことか‼︎ と、ラストでなりました。主人公の周囲が頭の切れる、または、目端の利く人で、主人公が剣の腕が立つだけの、快活で素直な若者って印象からはじまり、だからこそできること、事件と接して本人が気づいていなかった部分に意識が向いていく流れが、とても楽しく読み進められました。お家騒動が中心だけれど、軽快な読み口でした。2018/10/12
nyaboko
1
とても面白かった!私の好きなタイプの主人公なら自力であれこれ解決するところを、ここの主人公は周囲がどんどん話を進めてしまい、結果自分もまきこまれてるという辺り、今一歩足らないハズなのに、何故か好感が持てるのは、いさぎよいからなのかなぁ?2014/10/20