岩波現代文庫
神話と科学―ヨーロッパ知識社会 世紀末~20世紀

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  • サイズ 文庫判/ページ数 406,/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006000653
  • NDC分類 361.5
  • Cコード C0110

出版社内容情報

19世紀末から20世紀初頭にかけて,ネオ・ロマン主義や表現主義などの文化運動は,知の新しい形態を求めて大学の学問に鋭く対立した.ウェーバーの学問論と人間関係を軸に,知識社会のパノラマを生き生きと描く.

内容説明

十九世紀末―二十世紀初頭、大学に依拠した既成の学問体系はその基盤を大きく揺り動かされた。神話研究に導かれたネオ・ロマン主義や表現主義などの文化運動は、知の新しい形態を求めて大学の学問に鋭く対立した。ウェーバーの講演「職業としての学問」は、このような状況下でなされた。本書はウェーバーの学問論と人間関係を軸に、詩人・芸術家・文筆家・出版者の織りなす知識社会のパノラマを生き生きと描き出す。

目次

1 詩人の王国と認識の檻
2 「西欧の没落」と「職業としての学問」
3 「近代」のパノラマ
4 文芸出版の成立―思想のプロモーター
5 精神分析と社会科学―エロスの世界
6 アスコナ・コロニー
7 神話の古層―バハオーフェンの母権制

著者等紹介

上山安敏[ウエヤマヤストシ]
1925年兵庫県生まれ。53年京都大学法学部卒業。京都大学名誉教授。西洋法制史専攻。近代ドイツにおける法と国家の構造を社会史的に分析する一方、ドイツの社会科学の創出と制度化を知識社会学の方法によって記述してきた
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感想・レビュー

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またの名

7
「直観的に捉えることを願う人は、映画館にでも行きなさい(笑」と社会学者ウェーバーが皮肉を向けた、官僚化しつつある学問体制に抗ったゲオルゲの詩人王国。敵を知るためか社会学者はエロスとカリスマの研究に着手し、マルクスの科学を茶化すシュペングラーを公衆の前で罵倒。科学に殉ずるウェーバーにはしかし、薬物中毒と精神病と性愛の共産主義とによってフロイト派から除名された異端児グロースらが作る集団と交わり懐妊する弟子かつ愛人が存在した。その集団の思想にヘッセやベンヤミンが惹かれヒトラーが密偵を行う、恐るべき時代の関係図。2023/02/23

暗頭明

2
(…)彼(ケレニイ)には批判的方法の学派から離れて、無名の文献学者として、素材だけが自分の師だといって自分の途を切り開いていったバハオーフェンに対する共感がある。自己に課した運命的な課題は、人間の根源状態が何であったかという問いへの格闘である。''内的運命''によってなした彼こそ、古代人間、いや人間そのものの真にヒューマンな学問の先達者に外ならない。こうケレニイはマンに対し説き続けた(pp.370-、他pp.326-)。あとがきで著者自身「(編集人?)山腰和子さんは、いつも私の破格の文章を綿密にチェック2014/08/03

ringo

1
長雨さんのオススメ本。ヴェーバーの生きた時代について知りたいと思って読み始めたが、むしろ同時代の他の人物に興味を持ち始めてしまった。木田元先生が寄稿していた事実に驚く。2015/12/04

inenoha

0
世紀末から20世紀初頭にかけてのドイツ語圏における,二つの知的世界とその交錯を描く.一方にはウェーバーに代表される「官僚制化」された大学学問の世界があり,他方にはそれに対抗するゲオルゲらの詩的かつ全体的な知の世界がある.ウェーバーも後者への関心を持っていたことが強調される.精神分析も基本的には後者に属する.この時期の「モデルネ」と呼ばれる運動が文学,宗教,法学の各分野にわたっていたことや,出版という要因に関する記述は貴重と言えるが,独特の文体ゆえ,著者の主張だけを知りたい場合はあとがきだけを読めば十分.2020/02/21

春ドーナツ

0
町の図書館の蔵書に含まれていなくて、オンライン書店で本書が絶版であることを知り、とうとう某県の古書店から取り寄せて読む。ところで、私をそこまで駆り立てたものとは何だったのかしら?2012/11/22

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