岩波新書
友情の文学誌

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  • サイズ 新書判/ページ数 225p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004307204
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

出版社内容情報

文学者へ成長する漱石と子規.鴎外が遺書筆録を託した賀古鶴所.「近さ」からドラマを生んだ芥川たち.遭遇,切磋,別離など人間関係の綾を読み,日本近代文学の重要な局面をたどって,教養・信頼が形成する空間をみつめる.

内容説明

文学者へ成長する漱石と子規。鴎外が遺書筆録を託した賀古鶴所。「近さ」からドラマを生んだ芥川たち。志賀直哉ら師を持たない白樺派の世代。漢詩の世界、ギリシア・ローマ以来の言説にも目を配りながら、遭遇、切磋、別離など交流の綾を読み、日本近代文学の重要な局面をたどって、教養・信頼が育つ人間関係の空間をみつめる。

目次

プロローグ 友情の遠近法―漢詩の世界
漱石と子規
鴎外と若き友―年齢差が生みだした友情
鴎外と賀古鶴所
第一のインテルメッツォ 青春の友から円熟の友へ―精神史的に
芥川龍之介とその周辺
「師弟」と「友情」の織物―耽溺と確執
作品の中の友情―漱石・鴎外ふたたび
白樺派の人々
第二のインテルメッツォ さまざまな友人たち
小林秀雄の世代
フィナーレ 白洲正子、そして吉田健一

著者等紹介

高橋英夫[タカハシヒデオ]
1930年東京に生まれる。1953年東京大学独文科卒業。文芸評論家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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壱萬参仟縁

13
意識の経済学(2頁)。これは、神経経済学のような感じとはまた、違った表現だと思う。カーライルの『英雄論』が若者の読者を多数もっていた(33頁)というのは知らなかった。賀古鶴所という人は初めて聞いた(鴎外との関係、59頁~)。7歳年上の賀古。芥川龍之介らの世代的特徴とは、先達を仰ぎ、互いに近いための距離の近さ(131頁)。現代では、SNSで近いようでいて、長年会っていないのだが。漱石と寅彦は師弟にして友といった感じ(142頁)。市民大学院もそんな感じがいいんだよ。芥川式がいいと思う。時に思いやり、時に衝突。2013/07/30

amanon

6
明治から昭和初期にかけて、文豪達が織りなす様々な友情のあり方。ネットはおろか電話も普及していない時代だからこその、現代ではあり得ない濃い関係性に改めて驚かされる。そして、その友人同士の濃い交わりには、少なからず同性愛的な要素を孕んでいるのが興味深い。また、その関係性には書簡のやり取りが大きな要素を占めているのも、この時代ならでは。郵便物が届くのに現在とは比べ物にならないくらいに時間がかかったはず。それをひたすら待ち、そして返事を返す。時間空間の感覚に今とは格段の違いがあったのだろうと想像させられる。2022/11/02

Gen Kato

5
近代日本文学者を「友情」という結びつきから読み解く、文学評論というよりエッセイ。子規漱石の書簡集が好きなので、たのしく読んだ。女性作家同士の友情はまったくとり上げられていないのがやや寂しい。2017/06/01

kokekko

2
文学史がぜんぜんわからない人間が入門編としてよんでみた。おすすめをくれた人にありがとうを言いたい。「森鴎外? 高校の教科書にのってた」レベルの自分でも、漱石や芥川や鴎外らの周辺の人々や、彼らとの人間関係がざっくり分かった。ものをかく人は孤独と同じくらい友達を必要としているのか。2016/11/28

双海(ふたみ)

2
ふーん。2013/11/17

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