出版社内容情報
イギリスの政治哲学者ホッブズ(一五八八―一六七九)の主著.各人が各人を敵に争う戦争状態こそ人間の自然状態であり,国家とは,平和を維持するために絶対主権をもって君臨すべくつくりだされたいわば人工の人間にほかならない.書名を聖書に語られる巨大な怪獣の名にもとめた本書は後世に絶大な影響を及ぼした.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
16
再読。ここからホッブスは聖書を引用して当時主流だった王権神授説や教権主義を厳しく批判している。分かりやすい訳と言われる光文社古典新訳文庫版はこの部分が未訳となっているようだ。この部分は非キリスト者が多数の日本人には理解しにくいから。しかし現代民主主義の原理を形成した啓蒙主義はキリスト教を背景にした王権神授説や教権主義に対する厳しい批判から生まれた…と言うことは知っておいた方が良い。2020/09/07
てれまこし
8
あまり読まれない第三部だが分量はここがいちばん厚い。前二部によって展開された世俗的(に見える)政治理論を弁護するのに聖書自体をもちだす。真理追求の訓練を受けないものが聖書を自ら読み解き解釈する。教典解釈の教会による独占が破られたことが内乱につながった。内乱を治め平和を取りもどすためには終末論的気分を醸し出した教義の混乱を収拾しないとならない。キリスト教教義はイエスが救世主であり神の王国がいつかは到来するという信仰に絞られる。それまでは平和を維持する政治権力への絶対の服従がキリスト教徒としての義務とされる。2024/03/24
GASHOW
7
リヴァイアサン1,2に続いて、最大の難敵に挑んでいるという。キリスト教の権力者について書かれた本。わたしはキリスト教の団体や教義を全く知らないが、複雑な事情があることだけはわかった。2017/05/29
ハイちん
7
国家とは「万人の万人による戦争状態」を回避するために創造された人工的人間であり、臣民は主権者(政治権力・王)に臣従することで、安全な暮らしを享受することができる。という主張を述べてきたホッブズの前に、「教会」という敵が立ちふさがる。神の力は、王を超えうるのか。という問題を解決することなしに、ホッブズの国家論は解決し得なかった。ホッブズは神とは霊的な王国の王のことであり、神の法は、われわれが生きる物の集合としての宇宙においては強制力をもたないとして教会権力を批判した。聖書なんか読んだことねえよ、つかれたー。2016/07/04
順子
7
教会批判の巻。その辺も解ってる人に感想を譲ろう。聖書の旧約、新約の「約」って契約の事だったのか!翻訳の事かと思ってた。考えてみればそうだよな、字も違う。目から鱗。私の感想はそんなレベルだが、四巻に進む!(追記:よげんしゃは未来がわかる予言者ではなく言葉を伝える預言者だった!これも最近目から鱗 2019/10/4)2016/02/22