岩波文庫
北槎聞略―大黒屋光太夫ロシア漂流記

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  • サイズ 文庫判/ページ数 484p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003345610
  • NDC分類 290.9
  • Cコード C0125

出版社内容情報

天明二(一七八二)年十二月,駿河沖で遭難した回米船の船頭・大黒屋光太夫と乗組の一行は七ヵ月余の漂流の後アムチトカ島に漂着する.――本書は桂川甫周が幕命によって光太夫から聴取した聞書で,約十年に及ぶ漂民体験やロシア帝国の風俗・制度・言語等を驚くべき克明さで記録した第一級の漂流記である.(注 高野 明・解説 加藤九祚)

内容説明

天明2(1782)年12月、駿河沖で遭難した回米船の船頭・大黒屋光太夫と乗組の一行は7か月余漂流の後アムチトカ島にたどり着く。―本書は桂川甫周が幕命によって光太夫から聴取した聞書で、約10年に及ぶ漂民体験やロシア帝国の風俗・制度・言語等を驚くべき克明さで記録した第一級の漂流記である。

目次

船号・同夥人名
飄海送還始末
海陸路程
渉歴地名・風土・人物
夷俗
魯西亜通商五拾二国名目
魯西亜世系
風土
人物風俗
姓名称呼〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

isao_key

13
大黒屋光太夫と磯吉のロシアでの体験談を医師で蘭学者の桂川甫周が聞き取りまとめた書。日本を出てから根室に帰るまでの記述は50ページほどしかない。残りはロシア全般についての解説と簡単な単語辞典、器具や衣類などの絵及び註釈からなっている。今でいうガイドブックのような本で、とても一介の船乗りが語ったとは思えないほど広範囲に及ぶ事柄が記されており、光太夫の好奇心の強さと記録を残した執念のようなものを感じる。中には事実とは異なる間違いもあるが、それを差し引いても当時の知識人にとって、驚くべき第一級の資料だっただろう。2014/04/04

tokumei17794691

4
・蘭学者など、ごく一部の人たちに限られるだろうが、鎖国時代にあって西暦・地理をはじめ、正確な外国知識があった事、光太夫がロシアの事物につき細かく記憶していた事、この時代に既に、ヤクーツク、カムチャッカ方面に交易路が開かれていた事に驚いた。・現在、ロシアでは紅茶にジャムを添えて飲み、ミルクは添えぬイメージが強いが、この頃ではミルクティーを飲んでいる事、サモワールの記述なき事、コーヒーも飲まれていた事が意外だった。・漢文の引用は、読み下しになっていないのでよく分からない。読み下しも併せて付してほしかった。2021/05/01

MAT-TUN

4
日本人の大黒屋光太夫の一行は、天明2年(1782年)に海難事故でロシア領に漂着。 親切なロシア人と知り合い、カムチャツカからロシア領を西に横断し、モスクワやサンクトペテルブルグまで到達しています。 大黒屋光太夫は、時のロシア皇帝エカテリーナ2世に直接帰国を願い出て叶えられ、北海道の根室まで帰ってくることができました。 本書は旅の道中のこまごまとした記録や人物との会話の江戸時代の記録です。旅情や人々との会話も興味深いのですが、そのほかのこまごまとしたことの説明がまた面白い。2011/06/28

rincororin09

3
井上靖の「おろしあ~ 」も吉村昭の「大黒屋〜」も大好きで何度も読み返している。その底本たるこれはいつか目を通してみなければと思っていた。さすがに古文のような文章を精読、熟読というわけにはいかなかったが、やはりこれはすごいと思った。一つはこれらの資料から作品を創り上げた作家のイマジネーション。そしてもう一つはなによりも光太夫の広い好奇心や鋭い観察眼、物事の本質を見抜く力…といったこと。こういう類い稀な人物がたまたまロシアに流されたという偶然の重なりなのか。2022/02/02

えすてい

3
注を見ると誤りも沢山指摘されているが、それにしても大黒屋光太夫の驚くべき記憶力。それを詳細に聞き出して書き綴った桂川甫周。浄瑠璃本を読み商人としての高い教養と洞察力の持ち主だった光太夫は、一介の水主上がりの漂流民とは違うものを持ってる。だからこそ、幕府は西洋事情を知るにはこれほどの人物を江戸の手元に置いておくべきで国許に返したくなかったのだろう。それが後年の研究で「光太夫は飼い殺しの軟禁」と独り歩きしてしまったが、その「誤った解釈」は近年修正されつつもあるが未だに根強い。今年は光太夫没後190年である。2018/01/12

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