出版社内容情報
しばしばインド最大の哲学者とよばれるヒンドゥー教の哲学者シャンカラ(七〇〇‐七五〇)の教説集.「生と死というワニが出没する輪廻の大海」から脱する道はただ一つ,我が内なる本来の自己アートマンが宇宙の根本原理ブラフマンと同一であるという真理を悟ることにあると説く.表題は「千の詩節からなる教説」の意.本邦初訳.
内容説明
しばしばインド最大の哲学者とよばれるヒンドゥー教の哲学者シャンカラ(700‐750)の教説集。「生と死というワニが出没する輪廻の大海」から脱する道はただ一つ、我が内なる本来の自己アートマンが宇宙の根本原理ブラフマンと同一であるという真理を悟ることにあると説く。表題は「千の詩節からなる教説」の意。本邦初訳。
目次
I 韻文篇(純粋精神;主宰神;「私」という観念;統覚機能にのぼったもの;純粋精神の本質;監視者であること;夢と記憶;地から成るもの;正しい思想 ほか)
2 散文篇(弟子を悟らせる方法;理解;パリサンキヤーナ念想)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
63
ヴェーダンタの哲学者シャンカラの主著。ヴェーダンタという名はヴェーダと終わりを掛け合わせたもので、本書でもウパニシャッド以来のブラフマンとアートマンは同一である、梵我一如という事が繰り返し述べられている。本書の内容のほとんどはアートマンは何か、どういった物かについて費やされている。アートマンと認識の関係が中心となっているが、この辺修辞が多く解説が無いとわかりにくいな。根拠として示されているのが各ウパニシャッドである辺り、仏教よりも宗教としての面が色濃く、また何故仮面の仏教徒と言われるのかわかる気がする。2024/01/23
プロメテ
8
読友さんの紹介により。本書は、韻文と散文の二部構成だが、主に韻文を読んだ。これは『バガヴァッド・ギーター』に匹敵するほど読みごたえがあった。徹底的な行為の否定であり、この世からの離脱は前提とされる。シモーヌ・ヴェイユのハンストとリンクした。彼女はインドの古代聖典や本書のようなウパニシャッドの類いに傾倒して自死したのかもしれない。ここからは直線的にそのような帰結になるから。言葉はここでは神ではなく、無意味、況や、虚偽といっていいかもしれないのだ。ここから先の行為とはにか?解脱の先とは?、とずっと思っていた。2024/01/30
randa
3
アートマンは不変で、太陽のような存在。我々は無明によって、月が自ら照らしていると勘違いしている、太陽が照らしていることを気づかずに。中観派の空性と異にするが、仏教に近いものは感じる。2017/08/14
isao_key
3
訳者まえがきに著者のシャンカラの思想が詳しく述べられている。本文を読んだだけでは分かりにくいので助かる。シャンカラが目指していたのは輪廻からの解脱で、解脱を達成するためには宇宙の根源原理であるブラフマン(梵)の知識を得て、自己の本位であるアートマン(我)が同一であることを悟ることが解脱への道だと述べる。ブラフマン=アートマンであり、非アートマン的要素は無明の産物であり実在しない。一般人は無明のためこの真実を知らず、アートマンと非アートマンを識別していないので輪廻している。これを滅するのが解脱なのだという。2014/11/30
koshia
2
これらの韻文はあなたの心の深奥からじかに湧き上がる啓示である。2021/01/27