出版社内容情報
四字一句の二五〇句で成る千字文は、中国古代より児童の文学を学ぶ初歩の教科書として利用されてきた。
内容説明
四字一句の250句でなる「千字文」は、中国古代より児童の文字を学ぶ初歩の教科書として広く利用され、日本では習字の手本としても古くから親しまれてきた。本書は千字文を口語に訳し、文選読みという古い読み方と、多くの興味深い逸話を含む李暹の「千字文注」の訳を加え、巻末に智永の真蹟本「真草千字文」を付した。
目次
天地玄黄宇宙洪荒
日月盈昃辰宿列張
寒来暑往秋収冬蔵
閏余成歳律呂調陽
雲騰致雨露結為霜
金生麗水玉出〓崗
劒号巨闕珠称夜光
菓珍李〓菜重芥薑
海鹹河淡鱗潜羽翔
龍師火帝鳥官人皇〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
U
12
臨書するにあたり、内容理解のために使用。2015/06/27
壱萬参仟縁
9
目次が漢字だけ、というのは初めて拝見した。こんな本もあるのか。全く送り仮名なし。一定しているのは四文字+四文字=8字だ。四大五常とは、四つの要素である地・水・火・風で、五つは仁・義・礼・智・信である(68-69頁)。「学問をして余裕があれば、官位について仕えること。職務をとり、政治を行なう」(140頁)。そんな余裕はODにはないし、バイトしつつ、学位を狙う以外やることもないか。本書は中国の子どもが文字を学ぶためのものらしい(小川氏解説385頁)。4×250=1000とのことだが(表紙)、シンプルで好感。2013/04/01
glaciers courtesy
8
日本のいろは歌のようにすべて違う漢字千文字を使って作られた文章。元々は習字の手本として編集されたらしい。中国古代の考え方、故事・伝説などが千字文の中に織り込まれており、解説を読むと数千年前の中国の歴史や生活を身近に感じられるような気がする。信義を重んじ、親孝行することが尊ばれていたのだ。もちろんこれは詳細な解説が付いているからわかるのだが。しかしこの千字文が古事記にも出てくるというのだから中国の発展の早さには驚く。なるほど與那覇潤が世界の文化は中国こそが最先端であったのだと主張しているのもうなづけるな。 2015/10/14
CCC
6
これが児童向け……と最初は思ったが、本文と解説の違いに途中で気が付き少し安心。短い文に色んな背景が詰まっているものです。密度が濃いです。面白いです。2014/11/25
Ryoichi Ito
5
習字の練習を始め,教材として千字文を選んだ。作者は梁の 周興嗣(6世紀初)。王羲之の筆跡から千の漢字を250の4字句にまとめたもので,周興嗣はこれを一晩で作ったと。本書はその解説書で,各4字句にまつわる様々のエピソードを綴る。全く知らない4字句や漢字も多いが,「夫唱婦随」「枇杷晩翠」「梧桐早凋」など,わかりやすいものも。巻末「文庫版に寄せて」(木田章義)の小川環樹の想い出が素晴らしい。「一流の学者がどういうものかを身近に感じることができたのは望外の幸運だった」。小川環樹は湯川秀樹・貝塚茂樹の弟。2019/02/09