岩波文庫
死せる魂 〈中〉 (改訳)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 228p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003260555
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

出版社内容情報

詐欺師チチコフは戸籍面では生きていることになっている死んだ農奴を買いあつめて,これを抵当にして銀行から金を引出すため,ロシア各地を遍歴する.作者はこの遍歴のなかで,随所に道徳的破綻者を発見し,それに対して鋭い社会的解剖を加え,腐敗したロシアの全貌と,その生活につつまれた「夢」とを白日の下に暴露して,誤った社会制度と国家組織に痛烈な批判を下す.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

172
本巻でも チチコフの謀が進むが、 物語の大半は ロシアの人々の根も葉もない 憶測話が占める。当時の人々の 思考の有り様が 風刺的に 描かれる。 チチコフの意図はどこにあるのか? 第1部の完だが、今後の展開が 気になる 終わり方だった。2018/04/18

扉のこちら側

73
2016年768冊め。【211-2/G1000】チチコフの企みの像が見えてくるにしたがって、また新たな疑いも噴出する。噂はめぐる。特に優れたもの、頭脳だったり容姿だったり、を持っているわけではないが、何故かチチコフにひかれていく人々。優れているのは詐欺師としての才覚か。いよいよ下巻へ。2016/09/28

SIGERU

21
中巻も終り近くになり、ようやく、チチコフの半生が語られる。生まれ持った才覚と徹底したお追従により、能吏としてのし上がるが、事件に連座して地位を失墜。再起し、大金を手に入れて、死んだ農奴の所有権利用という新たな金儲けを発明したところで現在に至る。さらに、ゴーゴリ自身によって、『死せる魂』に賭ける意気込みが熱烈に表白される。読者が好みそうな綺麗な小説でなく、なぜ浅ましい現実や陋劣な人間たちを描くのか。創作の現場が縷々語られる。のちに客観小説が主流となるまでは、作者が小説の中で意見を述べるのは珍しくなかった。2021/06/28

松風

21
益々前面に競り出てくる「語り手」。2014/10/16

かごむし

19
ゴーゴリさん、上手だなあと思う。軽妙な人間の悲喜劇の奥に描き出したかったのは、ロシアそのもののようである。また、人間が本然的に抱いている、悪の部分、きたない部分をえぐりだすかのようでもあった。著者が今後の大きな構想を語ったところで、第一部完。下巻からはじまるはずであった第二部は、ゴーゴリが死の直前に原稿を焼却してしまい、現在第二部とされているのは、草稿やノートの断片を吟味補正して不完全ながらも出版されたものだということである。ここからどう語られていくのかとても楽しみな作品であったから、まことに残念に思う。2019/01/13

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