出版社内容情報
ワイマルにあって,大公の敬愛のもとに栄光に包まれ,殆ど神聖視すらされている老ゲーテと,「若きウェルテル」のロッテの四十四年ぶりの再会.永遠の女性としてゲーテの作品に刻みこまれたロッテと現身の老婦人ロッテとの対比に重ね合わせて,作者は詩聖ゲーテをその心の内部にふみこんで,精緻かつ周到に描き出してゆく.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Alm1111
7
ロッテの元に次はゲーテの息子アウグストの訪問。ようやく舞台は変わってゲーテさんご本人の登場。ゲーテが目覚めてから執筆に取りかかるまでの脳内思考を長い長〜い文章で綴る第7章は“吾輩このわずかな時間にこんな高尚で深遠な事を考えているんだぜ”自慢にしか読めないな。そして遂にロッテと再会するわけだけど、昔の女との対面に気まずさ全開のゲーテ、衆目の中で偉人としてのメンツを保ちつつ且つ彼女に無視も出来ず、俺、紳士的に振る舞ってるぞ感ありあり。トーマス・マンはこの本をヒットラー批判で書いたというがどの辺がそうなの?2025/07/15
てれまこし
5
本作は「ナチス批判」でもあるなんて言っておきながら、どんな批判なのか何の説明もない。そんな不親切な解説ならない方がよい。まさか暴君ゲーテにヒトラーが重ねあわされているわけじゃないだろう。むしろ、善悪を超越した天才とその他大勢の関係にドイツ的な危うさがあるって話じゃないだろか。高い精神性への憧れと事大主義が不安定に同居していて、それが怖いって話じゃないか。でも、天才が天才たるには多数の凡才に認めてもらわないとならない。だから、天才は多数の声を代弁しようと努める。英雄崇拝と事大主義の相性は決して悪くないかも。2018/10/11
hachi921
4
読了。 超ゲーテマニアがゲーテマニアの為に書いたような本。 正直言って、この小説の感想を書けるほど理解できていないのが現状だけれども、マンがゲーテに対する思い入れたっぷりなのだけは伝わった。ファウストとウェルテルを読んだときに、マンと文体が似てるなとは思っていたけれども、やっぱり文体も強く影響されてたのかなぁ。2019/12/06
tieckP(ティークP)
3
トーマス・マンが最も敬愛し、後半生を捧げたと言って過言ではない作家ゲーテを題材にした本であって、だからこそ腹話術のようにゲーテの思考を彼になりきって語ることも許されるわけである。とりわけ、その貴族的思考の嫌らしくも絶対的な性質を再現するのは非常に上手い。一生をゲーテについて考えてきたシャルロッテという立場から述べられた、偉大さには善も悪もないという表現こそマンの感想として見事であるし、この立場だからこそゲーテという国民的信奉の対象を、犠牲を求める悪として非難もできる。盲目でない愛情表現らしいシニカルさ。2017/11/30
pushuca
2
いつ果てる事なく続く小説にも終わりはある。極めて明瞭な言語で、書かれた物であった事にようやく気付いた。ゲーテが登場する。2026/04/06




