出版社内容情報
著者サキャ・パンデイタは13世紀チベットの大学者で，晩年は，強大なモンゴル帝国との交渉にあたった辣腕の政治家．その希代の学識と政治家としての体験が生んだ辛口の格言詩457句は，今も人々に愛誦されている．
内容説明
著者サキャ・パンディタ（１１８２‐１２５１）は１３世紀チベットの人。論理学・文法学・韻律学から医学・占星術にいたるまで、百を越える著作があると伝えられる学者であり、強大なモンゴル帝国との折衝に、チベットを代表してあたった熟練の政治家である。その卓越した学識と経験が生んだ、現在も人々に愛誦される辛口の格言４５７句。
目次
１章 賢者についての考察
２章 貴人についての考察
３章 愚者についての考察
４章 賢愚混交についての考察
５章 悪行についての考察
６章 本性についての考察
７章 不相応についての考察
８章 行為についての考察
９章 教法についての考察
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
97
チベットにこのような学者で政治家であった人物がいたとは驚かされます。モンゴル帝国との折衝にもあたっていたとのことです。よくこのような本を探し出して訳されて岩波文庫に入れてくれたと思います。9つの分野に分けられた4行の言葉が非常に人間の感覚的な核心をついているものがあったり、あるいは皮肉っぽいものもあったりでどこを読んでもいいのでしょう。「悪魔の辞典」を若干思わせるものもあったりして楽しめました。2023/09/30
lily
20
後半の二行は自然や生物のメタファーで構成され、慈愛、思いやり、叡智、不動心を説いた詩が多い。サキャの崇高な精神はダライ・ラマと現代のチベット人へと引き継がれている。岩波文庫読書講座があれば１時間目に使いたい教科書かも。2019/06/21
おせきはん
15
怒りをコントロールすることや利他の心の大切さ、財産に執着することへの戒めなど、仏教の教えに基づく格言が４行構成でまとめられていて、テンポよく読めました。2019/08/11
スプーン
8
チベットの学者サキャ・パンディタによる格言集。為になる格言がずらりと並びます。人は賢者の部分と、愚者の部分を、両方持っていると思われるので、この格言集から学ぶべき事は、いかに賢者の部分を保ち、愚者の部分を減らしていくか、だと思う。まあ、難しいですけどね（汗）2016/06/16
zoros
7
非常に読みやすく、楽しかった。どこを開いてもありがたい言葉が読めるので枕もとにおいてもいいかも。800年残っているのも納得です。 徳が広がるさまを、白檀や花の香にたとえているところにインド仏教の影響を感じました。 私は荘子や韓非子のような現実的な見方も入っていると感じました。中国の影響はどうだったのだろう。2019/06/28
