出版社内容情報
二度の流罪を頂点に波瀾を余儀なくされたその生涯にもかかわらず，もちまえの明朗闊達さを失わなかった宋代の代表的詩人蘇軾（一〇三六‐一一〇一）の詩選．ユーモアを含む軽快で知的な初期の詩風から奥深い光を放つ晩年の精深華妙な詩境まで常に成長しつづけたこの詩人の全貌を余すところなく伝える．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スプーン
30
世を憂い、又、世の美しさを記した詩人の、おおらかな詩集。俗歌などなく、身清む思いが致します。2019/08/09
双海（ふたみ）
19
教科書などで見た蘇東坡。今回は適当なページを開いて声に出して読んでみる、そういう気楽な愉しみ方でした。2015/02/15
零水亭
10
①死罪になりかけたり、晩年に左遷させられたり、妻妾・幼児に先立たれたりヒドい経験も多い割に、凄くタフで大らかな人、という印象です。元の性格なのか、「県民性」みたいなものか、禅・道教の影響なのか… ②頼山陽は詩では杜甫・韓愈・蘇軾・陸游の4人を特に参考にしていたとされます。蘇軾、山陽ともに幼児を亡くした時の詩を残していますが、ともに涙腺決壊させられます。 ③画家の富岡鉄斎は蘇軾の大ファンだったそうです。誕生日が一緒だったからだったと思いますが、記憶違いかも知れません。2019/07/10
壱萬弐仟縁
10
概説→原文→書き下し文→註→口語訳。巻末が年譜に解説。概説か口語訳をみて、興味をもったものを選んで読めばよい。「和子由澠池懷舊」（子由の べんちかいきゅう にわす24頁）。「人生のさすらいは何に似ようか。それは、舞いおりた雁が雪融（ゆきげ）の泥をひょいと踏むようなもの」（26頁）。小さく弱い人間の一生。他に、「人生 離別無くんば 誰か恩愛の重きを知らん」（73頁）。離別が恩愛の情の価値に気付かせる（75頁）。「人生は寄するが如し 何ぞ楽しまざる」（144頁）。人生仮りそめの宿り、楽しんでこそ（146頁）。2014/02/05
綾野理瀬（Ayano Lise)
5
一月かけて味わって読んだ。この一月はいろいろとあってとても大変だったのだが、その度にこの本は私の傍らにあった。落ち込んだり辛いことがあると、この本を開いてひたすら蘇軾の詩を味読した。やはり好きな詩は獄中にあり、死を賜ることになった直前のものだろうか。若い頃の溌剌とした言葉の選び方はされず、そこにあるのはまさに「絶唱」であった。詩は乱読するものではない。今日から夏休み、しばらく蘇軾に付き合って宋詩の世界を逍遙する。2017/07/13
